タミヤの軽巡洋艦「球磨」を製作しています。今回は前後のマスト、カタパルト、武装などを製作しました。

資料を参考にして各部を作り込み、クレオスC602「佐世保海軍工廠標準色」で塗装も行いました。
以下で説明します。
前回までのおさらい
今回製作している「球磨」は、長らく作りかけで放置されていたものです。艦橋、後部セルター甲板などが組み立てられていますが、後部マストは崩壊が始まっていました。

ある程度塗装も行っていましたが、一旦すべて落とし、舷側の鉄板継ぎ目をサーフェイサーの厚塗りで再現。

後部セルター甲板に張り出しを追加したり、リノリウムを縦貼りに変更したりしました。

また、艦橋、煙突、魚雷発射管などを製作しました。

次はマストとカタパルトを製作します。
前部マストの製作
各部の名称を調査
前部マストには、各種構造物が組み込まれています。マスト下部が艦橋と一体化しており、非常に複雑な形状をしています。

キットでは、前部マストは多数のパーツに分割されています。

そこで、前部マストの製作に先立ち、以下の書籍で各部の名称を調べてみました。

そして各部の名称を、おおむね以下のように推測しました。

これ以降、この推測に基づいて説明を行います。
各パーツの整形
前部マストのクロスツリーですが、バリに埋もれてしまっていました。

ゲートから丁寧に切り離し、デザインナイフとやすりで少しづつ削り出しました。

次に、射撃指揮所と前部見張り所が一体になったパーツ(部品番号27)と方位版射撃装置(部品番号28)を接着。クロスツリーの下部はマストとの間に隙間が出来るので、対策のためプラバンの小片を接着しました。

測的所本体下部(部品番号59)の下面には突き出しピン跡がありました。また、測的所本体上部(部品番号23)と組み合させると、後面の形状が一致しませんでした。
そこで、エポキシパテを盛り付けて、やすりで削って形を整えました。


更に各パーツを切り出して、パーティングライン、ゲート跡などを整えました。

これらを組み立てて前部マストを製作しますが、その前に見張り所などの窓枠を加工します。
前部見張り所(部品番号27)と測的所上部の構造物(部品番号26)の窓枠にはステッカーが用意されています。紙製のステッカーから窓の寸法に切り出したものを貼るように指示されています。

この部分はステッカーを使わず、代わりにプラバンで再現することにしました。
プラバンを帯状に切り出したものを接着。接着剤が固まったところで余分なところをニッパーでカット。これを繰り返して窓枠を再現。


クロスツリーに接着しておいたプラバンはデザインナイフで加工して形を整えました。
一通り窓枠を取り付け終わったので、マストの主柱(部品番号24)に測的所およびその上部の構造物を接着しました。

次はいよいよ前部マストを取り付けますが、その前に船首楼甲板後端にパラベーンを接着。

パラベーンはピットロードNE-02「新艦船装備セット2」に付属するものを使用しました。

三脚の部分の組み立て
前部マストの組み立てでは、艦橋を通して主柱(測的所と組み合わせたもの)を甲板の取り付け穴に差し込み、その後ろに支柱(部品番号14)、上部にクロスツリー(部品番号58)を取り付けます。

そこで、これらの部品を「佐世保標準色」で塗装して仮組してみました。すると・・・

支柱の上部の長さが足りないことが判明。どうやら支柱の形を整えるときに、余分に削ってしまったようです。

また、クロスツリーがぐらぐらで、マストとの間の隙間が全く埋まっていないことも判明しました。(ぐらぐらなので上に乗せた状態で撮影できませんでした。)
そこで、クロスツリーにさらにプラ材を追加。また、支柱の上端にはプラボウとエポキシパテを追加しました。そして接着剤とパテが十分に固まった後に加工しました。


この加工を施したことで、それまでぐらぐらだったクロスツリーが、マストの上部でしっかり保持されるようになりました。

ただし、下からのぞき込むと、まだ隙間が多く残っていました。

この隙間はエポキシパテで処理することにしました。まずクロスツリーを前部マスト上部に接着し、マストとクロスツリーの隙間をエポキシパテで埋めました。


探照灯台とトップマストの取り付け
探照灯台
探照灯台(部品番号25)をランナーから切り出し、抜きテーパーを処理して仮組しました。

すると、マストとの間に隙間が出来ることが判明しました。

この隙間もクロスツリーと同様にエポキシパテで埋めました。

探照灯としては、ピットロード1/700「新艦船装備セット2」に付属する90㎝探照灯を使用します。

塗装を行った後で取り付けます。
トップマスト
「球磨」の前部マストでは、「球磨型軽巡洋艦」の他の4隻と比べてヤードの位置が異なります。キットのパーツは「球磨」以外の4隻のヤードが再現されています。
そこで、伸ばしランナーでトップマストを作り変えました。

前部マストのトップマストを伸ばしランナーで作り直したので、後部マストのトップマストも形状の整合をとるために伸ばしランナーで作り直しました。
マスト各部に「佐世保海軍工廠標準色」を筆塗した後、自作したトップマストをキットのパーツの代わりに接着しました。

後部マストと旗竿の製作
壊れてしまった部分を修復
実はこのキット、着手したのが随分前で、ずっと作りかけで放置してしまっていました。
一度組み立てははずの後部マストは壊れてしまいましたが、後部セルター甲板に接着した主柱はガッチリと固定されていました。

この主柱を取り外して使うのは無理があります。
そこで、キットのパーツをガイドとして1㎜プラボウで主柱を作り直しました。そして下部にプラバンで自作したデリックの基部を接着しました。

壊れてしまっていた探照灯台を修復し、やすりで抜きテーパーを処理。支柱中段の見張り所に突き出しピン跡があったので、エポキシパテで埋めました。


また、支柱と探照灯台の間の隙間もエポキシパテで埋めました。

後部マストの破損個所が修復できました。ついでに前回壊してしまった艦首の旗竿を伸ばしランナーで製作。


さらに艦尾にも伸ばしランナーで旗竿を追加しました。


各部を作り込んだ。
見張り所の窓には、前部マストと同様にステッカーを貼るように指示されています。

この窓も前部マストの測的所などとと同様にプラバンで再現することにしました。
帯状に切り出したプラバンで少しづつ窓枠を再現しました。



後部セルター甲板を自作したので、支柱の基部の甲板にはめ込む部分を切り取りました。そして、後部マストの三脚部分を仮組してみました。

後部マストの主柱と支柱を接着し、プラバンの細切りで横桁を追加。クロスツリーはトップマストを取り付ける穴をエポキシパテで埋めてから接着しました。

伸ばしランナーで作っておいたトップマストを接着し、マストとクロスツリーの隙間をエポキシパテで埋めました。

出来上がったものを甲板に差し込んでみました。パーツが破損していてどうなることかと思いましたが、何とか形になりました。

デリック、90㎝探照灯は塗装後に取り付けます。
各種装備の製作
カタパルトのディテールアップ
カタパルト本体はキットのパーツを使用します。また、支塔はプラ材で自作しました。キットのパーツを参考にして、同じようなサイズとなるようにプラ材を切り出しました。

支塔の外径が4㎜、高さが3.8㎜となるように切り出した2種類のプラパイプとキットのパーツを組み合わせて接着しました。

次は、カタパルト本体にディテールを追加しました。
参考にするのは「傑作軍艦アーカイブ20 軽巡「天龍」型/「球磨」型/「長良」型/「川内」型」です。

この書籍に1935年に青島で撮影された「球磨」の写真が掲載されており、カタパルトも映っています。主にこの写真を参考に、見えない部分は想像も交えてディテールアップを行いました。
まずカタパルトの先端をそれらしく削り込み、1.2㎜プラボウから切り出した滑車を取り付けました。また、甲板に固定するときのガイドとして、支塔に1.6㎜のプラボウを接着しました。

カタパルト上面の両端には、伸ばしランナーで滑走台のレールを再現しました。

カタパルトの中心線にスジボリを入れましたが、違和感があったので埋めました。
書籍の写真では、カタパルトの後半に足場のようなものが取り付けられ、その上に人が乗って作業を行っていました。
そこで、カタパルト後半の左右に細切りにしたプラバンを貼り、足場を再現しました。

上面に入れたスジボリには瞬間接着剤を塗り、やすりで削って平らにしておきました。
武装
主砲には、ファインモールド1/700ナノドレッドシリーズWA44「1/700 50口径14㎝単装砲」を使用することにしました。

このセットには、異なる形状の部品が組み込まれており、シールドの形状、砲身基部カバーなどを選んで組み立てることができます。

| シールド | ナックルありとナックルなしから選んで組み立てる。 |
| シールド後端の波除 | 「あり」の状態で成型されており、必要に応じて削り取る。 |
| 砲身基部カバー | ありとなしから選んで組み立てる。 |
「球磨」のシールドとしては「ナックルあり」のものが指定されていました。
また、「傑作軍艦アーカイブ20」に掲載された青島での写真を参考として、シールド後端の波よけはすべての主砲でなし、砲身基部カバーは6番主砲のみありとすることにしました。

砲身基部カバーは常に6番主砲のみ取り付けられたわけではないと思いますが、写真が印象的だったため、あえてこの状態で製作することにしました。
「球磨」のキットの甲板には主砲の基部がモールドされていますが、後部セルター甲板を自作したため、5番、6番、7番主砲の台座が無くなってしまいました。そこで、プラバンをポンチで切り抜いたものの真ん中に穴を開けて台座としました。

一方、8㎝高角砲はピットロード1/700「新艦船装備セット3」に付属するものを使用することにしました。

キットのパーツは本体と砲架の2つのパーツで構成されており、任意の角度で組み立てることが出来ます。

パーツが小さいので、砲架はランナーとつながった状態で切り出しました。そして今回は係止状態とするため、本体を大きく迎角をとった状態で接着、塗装も行いました。

船体に取り付けるときにランナーから切り離します。
追加の部品を作成、各部の塗装を行った。
「傑作軍艦アーカイブ20」に掲載された「球磨」の図面を見ると、後部セルター甲板に3つの四角い構造物が描かれていました。これらを再現するため、0.5㎜プラバンを2枚重ねて1㎜とし、2.5㎜角に切り出したものを3つ用意しました。

主砲、8㎝高射砲、カタパルト、トップマストなどに「佐世保海軍工廠標準色」を塗りました。


ダビット類はランナーから切り離さずにパーティングラインを処理して塗装しました。

この段階では、キットのダビットを使用するつもりでした。しかしそうは問屋が卸さず・・・
次回をお楽しみに!
続く。
おまけ:猫の図書館(10)「アニメ くるねこ」
ネコの映像作品としては、「アニメ くるねこ」は外せないのだ!

| 発売 | 角川書店 |
| 商品番号 | DAXA-4483 |
これ、おもしろいやつですね!
ウム。それに、ネコ独特の間が再現されているのが味わい深いのだ。
大福さんが来てから改めて見ると、新たに気づかされる点もありました。
やはりネコという生き物は奥が深いのだ。

本編が109分で、映画を一本見るより短いぐらいですが、内容は濃厚ですよね。
そうなのだ。ねこと一緒に暮らしていても、そうでなくても楽しめるお勧めの一作なのだ!
つづく


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