以前製作したタミヤ1/35「ホルヒ1aと20㎜対空機関砲」を、ご紹介いたします。
タミヤ1/35「ホルヒ1aと20㎜対空機関砲」について
このキットは、もともと別々に売られていた「ドイツ大型軍用乗用車 ホルヒ タイプ1a」と「ドイツ20㎜対空機関砲」に、親衛隊の人形4体と木箱や弾薬箱などを追加して1つのパッケージにまとめたものです。
キットには、ドライバー1体と乗員4体、合計5体の親衛隊員が付属しています。このうち、乗員4体の親衛隊は別売りもされました。
単品の「ホルヒ1a」には、ホロ、フロントウィンドウの部品が2種類付属していて、ホロを張った状態と格納した状態を選ぶことができます
一方、このセットでは部品が減らされて、ホロを格納した状態のみ製作できます。
2021年6月の時点では、残念ながら「ホルヒ1a」以外は入手困難なようです。
製作時のポイント:「ホルヒ1a」
元が古いキットなので、部品の仮組やパーティングラインの処理などに時間をかけました。ドライブシャフトやサスペンションのスプリングといったシャシー裏側の部品に、特に時間がかかりました。
右側の方向指示器の上に丸いものが装備されています。箱絵から「サーチライト」と判断。中をくりぬいてシルバーを塗り、ウェーブの「Hアイズ」をはめ込んでライトっぽく見えるようにしました。
左側の方向指示器上の装備はサイドミラーのようなので、ハセガワの「ミラーフィニッシュ」をポンチで打ち抜いて貼りました。
マフラーの先端に真鍮パイプを組み込んで、開口された状態としました。
内装をジャーマングレー、外装をダークイエローで塗ることで、塗装しなおして使い込まれた車両のイメージとしてみました。
荷台にはキットに付属の木箱や弾薬箱のほかに飯盒などの荷物を追加して載せてみました。
組み立て説明書の指示に従ってワイヤーロープも作成して取り付けました。
製作時に、4つあるドアの部品のうち1つを紛失してしまいました。どれだけ探しても見つからなかったので、仕方なくプラ板でドアの部品を作り直しました。
1つだけ作り直すとバランスが悪くなるので、4つとも全て作り直しました。完成した後、箱の中をみると、なんとドアの部品が4つあるではないですか!
見つけたときはショックでした。部品をなくさないように気を付けないといけないですね。
製作時のポイント:親衛隊
親衛隊は迷彩スモックを着用した状態で立体化されています。迷彩パターンを再現するため、新選組の迷彩デカールを使用しました。腕、上着、ズボンなど、部分ごとに貼っていきました。大きめに切り出したものを、ひたすらマークソフターでなじませながら貼っていきました。
デカールが部品の凹凸になじんだ後、新品の歯に交換したデザインナイフで余分を切り取りました。デカールが完全に張り付いてしまう前に切り取らないとはがれなくなるので、切り取るタイミングが重要です。
階級章などは、タミヤ1/35「ドイツ兵階級章デカールセット(アフリカ軍団・武装親衛隊)」を使用しました。
そして最後に全体につや消しクリアーを塗装しました。
ライフル、水筒、双眼鏡などの装備品はタミヤ「ドイツ歩兵装備品セットA」のものを使用しています。古いドイツ兵のキットを製作するときに重宝したのですが、売り切れて見かけなくなってしまいました。
新選組の迷彩デカールも、最近は見かけなくなってしまいました。1つストックしているので、迷彩服の筆塗りに挑戦してみようかなぁ。
製作時のポイント:「20㎜対空機関砲」
完成後に銃身を上下に動かすことができるようになっています。牽引状態では、銃身は下げ位置にあるのではと考えました。
キットでは、銃身はうごくのですが照準器は固定で銃身の動きに追従しません。
そこで、照準器の取り付け角度を変更してみました。
部品J28の取り付け角度を変更し、部品J15の長さを短くするだけの簡単な改造です。
キットにはトレーラーが付属しており、トレーラーと組み合わせたり、外したりすることができるようになっています。
が、トレーラーから外れやすいので、接着して固定しました。
台座の側面にパーティングラインがありますが、実物にもパーティングラインがあります。あえて残して製作しました。
台座そのもののパーティングラインを残しつつ、フックなどのパーティングラインをやすりで削り落としました。
「パーティングラインは消さないといけないもの」という思い込みがあるためか、あえてパーティングラインを残すのには違和感を感じました。
今回は単にキットのパーティングラインを残しただけとしましたが、実物のパーティングラインっぽく加工する、という工夫をしてみるのも面白そうです。
「ホルヒ1a」とは
「ホルヒ1a」は、1930年代、車両の規格を統一するべく立案されたアイン・ハイツ計画の一環で開発、生産された乗用車です。
アイン・ハイツ計画では、軍用乗用車は小型、中型、大型の3つのクラスに分類されるのですが、ホルヒ1aは大型クラスに属しています。
大型クラスのシャシーのうち、四輪ステアリング機構を持つものが1a、後輪ステアリング機構を排して簡素化したものが1bと呼ばれていました。
ところで、四輪装甲車Sd.Kfz.221,222,223などにもアイン・ハイツ計画の大型クラスのシャシーが用いられています。
そこで以前製作した「Sd.Kfz.222」のシャシーと比較してみました。まずは、「ホルヒ1a」のシャーシです。四輪駆動で、前後にステアリング機構が装備されています。
四輪独立懸架で、各々のホイールが2つのコイル型スプリングを使用したダブルウィッシュボーン式のサスペンションで保持されています。
小回りが利き、乗り心地もよかったのではないかと推察されます。なかなか凝った機構を備えていますね。
次は「Sd.Kfz.222」です。「ホルヒ1a」では車体前部に配置されていたエンジンが、後部に配置されています。そのため、マフラーの取り回しは全く異なっています。
四輪駆動、四輪ステアリング、四輪独立懸架など、「ホルヒ1a」と同じ機構を備えていることは同じですが、各部の部品の形状は異なっています。
規格が統一されたとはいえ、車両によってかなり形状が異なっているようですね。
「ホルヒ1a」は1938年から生産が行われましたが、車種の統合、整理を進めるべく策定されたシェル計画により、1941年に生産が終了しました。
兵員の輸送や各種火器の牽引など、様々な用途に用いられ活躍しました。
「20㎜FLAK38対空機関砲」とは
「FLAK38」は、ドイツの代表的な対空機関砲の一つです。
スペイン内乱時に使用された20㎜対空機関砲「FLAK30」の連射性能を向上させるべく改良されたものです。
その連射速度は計算上では1分間に450発で、「FLAK30」の280発に対して倍近い性能を発揮しました。
計算連射速度 | 実用連射速度 | |
FLAK30 | 280発/分 | 120発/分 |
FLAK38 | 450発/分 | 220発/分 |
「FLAK」は「フラク」と読み、対空火器を意味します。タミヤの「FLAK38」は、単品では「20㎜対空機関砲38型」という名称で発売されていました。
第二次世界大戦における航空機の発展は目覚ましく、より高性能な対空機関砲が必要となり、「FLAK38」を四連装化した「FLAKVERLING38」も開発されました。
牽引状態
「ホル1a」と「FLAK38」を組み合わせて牽引状態としてみました。
これらはどちらもドイツ軍の一般的な装備です。第二次世界大戦中の様々な戦線でこのような姿が見られたでしょう。
車両単品で製作するのもよいですが、兵隊や火器と組み合わせて製作すると、車両が生きてくる感じがして楽しいですね。
ご覧いただき、ありがとうございました。タミヤの「ホルヒ1aと20㎜対空機関砲」でした。
コメント