これまで製作過程を紹介してきたアオシマ1/350の「PTボート PT-109」より、「PT-109」と「PT-108」が完成しました。
アオシマ1/350の「PTボート」は、今回製作した「PT-109」の他に「PT-132」と「PT-337」も発売されています。
また、アオシマの「PTボート PT-109」には、1/700の「PTボート」が2隻付属していますが、1/700スケールでは、ピットロードの「高速魚雷艇」にも「PTボート」が入っています。
そこで、アオシマの3種類の「PTボート」と、ピットロードの「高速魚雷艇」に付属する「PTボート」を比較してみようと思います。
アオシマ 1/350「PTボート」
アオシマから1/350の「PTボート」は、「PTボート PT-109」、「PTボート PT-132」そして「PTボート PT-337」の順に発売されました。これらを順に見ていきます。
「PT-109」
「PT-109」は、ケネディ大尉(のちのケネディ大統領)が艇長を務めたことで有名です。日本海軍の駆逐艦「天霧」と衝突して沈没してしまったのです。ボックスアートには「天霧」も描かれていて、高速航行する「PT-109」に探照灯を浴びせつつ突進しています。
ちなみに「天霧」は各社の製品が販売されていますが、ヤマシタホビー1/700の駆逐艦「天霧」の箱絵には、「PT-109」と「天霧」が衝突した様子が描かれています。
「PT-109」と「天霧」の衝突について、アオシマの「PTボート PT-109」の箱の側面には「衝突事故」と書かれています。一方、「天霧」の箱の解説では「天霧」が積極的に「PT-109」を沈めに行ったようにも受け取れます。「PT-109」と「天霧」の衝突の顛末については諸説あるようです。
では、キットの内容を見てみましょう。アオシマ1/350の「PTボート PT-109」には、1箱に1/350のものが2隻、1/700のものが2隻、合計4隻の「PTボート」がセットされています。
まるで、かつてアオシマから発売されていた「親子マシン」のようですね。(分かる人はどのぐらいいるのだろう・・・)
船体は喫水線の部分で分割されていて、洋上モデルまたはフルハルモデルのどちらにも組み立てることが出来ます。フルハルモデルとした時のため、台座も付属しています。
デカールには「PT-107」「PT-108」および「PT-109」の3種類の船体番号が入っています。船首左右の船体番号は大きいものと小さいものの2種類が用意されています。
ただし、これらは1/350のもののみで、1/700の「PTボート」用にはデカールは用意されていません。また、星条旗が1枚分しか入っていません。
ちなみに1/350の「PT-109」ですが、ファインモールド1/350「帝国海軍 特型駆逐艦II型 天霧」にも入っていましたが、現在は売切れのようです。また、1/700のものはアオシマ1/700「日本海軍戦艦 扶桑 1944」および「日本海軍戦艦 山城 1944」にも1隻入っています。
「PT-132」
「PT-132」は、スリガオ海峡海戦に参加した39隻の「PTボート」の内の一隻です。ボックスアートには、米艦隊の攻撃を受けて火災が発生した戦艦「扶桑」、そして「PT-132」と交戦する軽巡洋艦「阿武隈」が描かれています。(いろいろ突っ込みどころがありそうです・・・)
アオシマ1/350「PTボート PT-132」には、1箱に「PTボート」が2隻と「PBYカタリナ飛行艇」が2機セットされています。そういえば、ボックスアートにも「カタリナ飛行艇」が控えめに描かれていますね。
「PTボート」の船体部分は「PT-109」と同じですが、上部構造物のランナーが異なります。機銃が増備され、ロケットランチャーも装備する重武装なタイプが再現されています。
また、ボックスアートでは控えめだった「PYBカタリナ飛行艇」ですが、「PTボート」に対してランナーのサイズが大きく、また細部まで再現されていて存在感があります。
デカールには「PT-130」から「PT-134」までの5種類の船体番号の他に、「カタリナ飛行艇」用の国籍マークなど含まれています。星条旗は1枚分ですが、このデカールのシートが2枚入っているので問題ありません。
「PTボート PT-109」と比べて内容はボリュームアップしつつ、価格は据え置きのお得なキットです。
「PT-337」
「PT-337」は、ガダルカナル、ニューギニア方面での日本軍との攻防戦に参加しました。ボックスアートには、揚陸作戦を行う「大発艇」をめぐって「夜間戦闘機 月光」と交戦する「PT-337」が描かれています。
このボックスアートをよく見ると、連装機銃座は台座ごと旋回しているように見えます。今回行った連装機銃座の加工は間違いではなさそうです。
アオシマ1/350「PTボート PT-337」には、1箱に「PTボート」が2隻と「夜間戦闘機 月光」が2機セットされています。
「PTボート」のランナーは「PT-109」と共通です。使用するパーツの組み合わせを変えることで、異なるタイプの「PTボート」を組み立てることが出来ます。
そして付属する「夜間戦闘機 月光」も各部が細かく再現されています。
船体番号は「PT-336」から「PT-338」までの3種類、そして星条旗が2枚分入っています。また付属の航空機2機分のデカールも用意されています。この必要十分な内容のデカールが1枚入っています。
デカールが1枚にまとまり、おまけの航空機のサイズも適正化されて、パッケージとしてのバランスが取れた感がありますね。ちなみにこのキットも、「PT-109」や「PT-132」と同じ価格でした。
アオシマとピットロードの1/700「PTボート」
アオシマ「PTボート PT-109」に付属する「PTボート」
「PTボート PT-109」のところで紹介した1/700の「PTボート」を改めて見てみます。パーツ数が8個と少なく、洋上模型としてのみ製作出来ます。また、マストは甲板と一体で省略された形状で、12.7㎜連装機銃や20㎜機銃も再現されていません。
一方、前甲板のゴムボートなど、甲板上の構造物はくっきりとモールドされており、また魚雷発射管も細かく再現されています。
細部がオーバースケールとなるのを避けるため、1/700では再現困難な部分をあえて省略したということなのかもしれません。
ピットロード「高速魚雷艇」に付属する「PTボート」
ピットロードの「高速魚雷艇」は、アメリカ海軍の「PTボート」、イギリス海軍の「ボスパー2型魚雷艇」そしてドイツ海軍の「Sボート」の3種類の魚雷艇のセットです。
アオシマの1/700「PTボート」と同様に船底部分が含まれず、洋上模型としてのみ製作出来ますが、停泊/低速航行時と高速航行時の2種類の船体が用意されています。
そして、マストや機銃などの甲板上の構造物も省略されずに再現されています。
そして、ピットロードの「PTボート」は、アオシマのものより大きく感じられます。
そこで、野暮を承知で寸法を測ってみました。全長、全幅はピットロードの「高速魚雷艇」の箱に記載されていた値です。
諸元 | 1/1 | 1/700 | アオシマ | ピットロード |
全長 | 24.4m | 34.86㎜ | 34.9㎜ | 35.5㎜ |
全幅 | 6.3m | 9.00㎜ | 8.3㎜ | 9.5㎜ |
全長/全幅 | 3.87 | 3.87 | 4.20 | 3.74 |
その結果、全長はアオシマの方が正確ですが、幅が小さめ、ピットロードは全体的に大きめということが分かりました。
まとめ
アオシマ1/350「PTボート」
アオシマのキットの内容をまとめてみました。
製品 | 特徴 | おまけ | デカール |
PT-109 | 船体、船底をまとめたものと 甲板部分の2枚のランナーで 構成される。 | 1/700 PTボート2隻 | 星条旗1枚 3種類の船体番号 おまけの分は無し |
PT-132 | 甲板部分のランナーが 他と異なる。 | 1/350 カタリナ2機 | 星条旗2枚 5種類の船体番号 カタリナの国籍標識 |
PT-337 | PT-109と同じランナー。 使用するパーツが異なる。 | 1/350 月光2機 | 星条旗2枚 3種類の船体番号 月光の国籍標識 |
「PTボート PT-109」は、ジョン・F・ケネディー艇を製作できるのが特徴ですが、ボリューム的には他のキットより見劣りしているように思います。「PTボート PT-132」は3つのキットの内で一番ボリュームがあり、お得感が高いです。また、甲板のパーツが異なる点も見逃せません。そして「PTボート PT-337」は、他と比べると地味に感じますが、製品としてのバランスは高いように感じます。
アオシマの「PTボート」は1/350アイアンクラッドシリーズにラインナップされていました。しかし、現在はメーカーのホームページに掲載されておらず、店頭でもほとんど見かけないのが残念なところです。
アオシマとピットロードの1/700「PTボート」
次は、アオシマとピットロードの1/700の「PTボート」をまとめます。
メーカー | 特徴 | デカール |
アオシマ | 細部が省略されていてあっさりしている。 12.7㎜連装機銃、20㎜機銃も省略されている。 | なし |
ピットロード | マスト、通風塔、機銃などが再現されている。 | 船体番号 星条旗 |
アオシマのキットは、あっさりとした内容ですが、魚雷発射管やゴムボートなど、しっかりした彫刻が施されています。また、船体の長さが正しいのが特徴です。一方、ピットロードのキットは、全幅がありすぎますが、各部が細かく再現されています。
次は1/700の「PTボート」を製作します。
アオシマ1/350「PTボート PT-109」に付属する1/700の「PTボート」が手つかずで残っています。また、ピットロード1/700「高速魚雷艇」にも「PTボート」が入っています。
次回は、これらを製作することにします。
続く。
おまけ:猫の大福さん(2) 背伸びしてにょ~ん
やったぞ!ついにやったぞ、赤トマト君!
ど、どうしたのですか???何をそんなに騒いでいるのですか?
いやね、大福さんが起きるときに、背中を曲げて「にょ~ん」という姿勢になるだろ?
な、なんですか、その「にょ~ん」っていうやつ・・・?
この写真を見てくれたまえ!ようやくこの「にょ~ん」を撮影することが出来たのだ。
おぉ、これは・・・背伸びですね!
そうなのか・・・
僕も撮りますよ・・・それ!(パシャ)
やるな、赤トマト君。
エッヘン!
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