みなさん、こんにちは。青木鳥です。
昨年(2021年)の9月から12月にかけて、メビウスモデル1/160「スペースクリッパー オリオン号」の製作過程を紹介してきました。
改めて完成品をご紹介いたします。
スペースクリッパー オリオン号
「オリオン号」は映画「2001年 宇宙の旅」に登場する宇宙機です。ボックスアートに「Orion III Space clipper」とあるように、正式名称は「オリオンⅢ型宇宙機」です。
映画では、地球を眼下に望み、大気圏外を宇宙ステーションに向かって飛行する姿が描かれました。途中、一切説明もなく、静かに宇宙の旅の様子が映し出される映像がとても印象的でした。
一方、小説版「2001年 宇宙の旅」では、地上から宇宙ステーションに至るまでの一連の飛行過程が描かれています。
小説によると、「オリオンⅢ型宇宙機」は、上段、下段の2段から構成されています。これに地上の発射軌条が加わり、巨大な宇宙機を軌道上の宇宙ステーションまで運び上げます。
下段は途中で切り離され、自動で地上に帰っていくことになっており、宇宙ステーションには上段のみが到達します。
映画は「オリオンⅢ型宇宙機」の上段部分が宇宙ステーションに最終アプローチをかけているところを描いているので、キットも上段部分を再現したものと言えるでしょう。
現実の世界では2001年はすでに過去ですが、映画や小説で描かれている宇宙ステーションやオリオン号のような規模の設備はいまだ実現されていません。
そういう意味で「2001年 宇宙の旅」が描く世界は未だ近未来的な魅力を失っておらず、大変興味深いと思います。
製作時のポイント
今回の製作のポイントはLEDを組み込んで、窓を光らせたことと、省略されたパンナムのマークを追加したことです。
また、機体各部にも手を加えてみました。以下で説明します。
キットについて
メビウスモデルの「オリオン号」ですが、2011年に完全新金型のキットとして発売されたものです。2011年当時はスケール表記が1/144とされていましたが、今回製作したものは1/160と表記され、パッケージのデザインも異なります。ただし、内容は同じもののようです。
同じくメビウスモデルの1/350「ディスカバリー号」を製作した後に、このキットを開封してみて、テイストの違いに驚きました。
機体内部はがらんどうで、客席、コックピットなど、窓から見える部分さえも省略されています。また、主翼にスジボリは施されておらず、ペラっとした板のような印象です。
窓ガラスはクリアパーツが用意されています。ディスプレイベースもクリアパーツです。
ただし、客席の窓ガラスの部品は引けが強く、修正は難しそうです。
デカールは大判のものが付属します。主翼をはじめ、機体各部のパネルラインがメインですが、版権の問題からかパンナムのマークが含まれていません。また、デカールの質が国産の一般的なキットとは異なり、ニスの部分が固く、マークソフターなどは全く効きません。
ストレートに組み立てるにしても、手がかかるキットでした。
手を加えた部分
インテークと排気口
「オリオン号」の機体には、エンジンの手前辺りに胴体を取り囲むようにインテークが配置されています。キットでは、インテークのくぼみと半円形の突起の間に平らな部分がありますが、映画のDVDからはくぼみがそのまま突起に続いているように見えます。
そこで、インテークのくぼみを突起まで延長することにし、キットの部品をやすりで削りました。
また、胴体下面には排気口が並んでいます。キットの部品では、排気口の突起は再現されていますが、その先のくぼみは省略されてしまっています。
DVDを参考にくぼみの長さはおよそ3㎜と推定。くぼみの長さが3㎜となるようにガイドのマスキングテープを貼り、削った場所が分かるようにサインペンで黒く塗った後、電動工具とやすりで削りました。
本来の部品が収まる部をプラバン、瞬間接着パテなどでふさぎ、滑らかになるように削りました。
排気口の突起はプラ棒を貼り付けて再現しました。
主翼
主翼は、キットの部品をそのまま組み立てると、付け根から先端まで同じ厚みの板となってしまい、実感に欠けます。
そこで、先端に行くにつれて薄くなるように加工しました。
また、主翼上面後端も薄く見えるように、斜めに削りました。
客席
機体内部に何もないので、客室を自作することにしました。ただし、完成後はあまり見えなくなるので、それらしく雰囲気のみ再現しました。
まず客席の窓の内側にプラ材でフレームを追加。LEDの光が透けないようにしつつ、室内を照らすために、機体内部にアルミ箔を接着しました。
内部にフレームを追加したので、キットに付属する窓ガラスの部品が使えなくなってしまいました。そこで、透明プラバンから窓ガラスを切り出しました。
窓ガラスは機体を塗装した後で接着しました。
次に客席をプラ材で製作。床板をプラバンで用意し、前後の隔壁と、一段高くなった通路を追加しました。
全部で36個ある客席もプラ材で製作しました。
床を「ハルレッド」、椅子を「セミグロスブラック」で筆塗して接着しました。
勢いでコピー用紙からフロイド博士と客室乗務員を切り出して配置してみました。
ペラペラの紙でリアルではないですが、映画のあの場面を雰囲気だけ再現してみました。ただし、完成後は全く見えなくなってしまいました。
コックピット
コックピットも同様にプラ材で製作しました。先に胴体左右を貼り合わせ、継ぎ目の処理などを行った後で機体の所定の場所に収められるようにしたいと考えました。
そこで、プラ材のフレームを用意し、その先端に自作したコックピットを取り付けました。
操縦席の後ろにトレーシングペーパーで壁を追加。LEDの光がトレーシングペーパーで拡散されて、コックピット全体が証明されている雰囲気を出せるようにしました。
乗員2名をコピー用紙から切り出しました。映画では、「オリオン号」の搭乗員は白い制服を着用していたので、顔の部分のみ塗り分けることとし、色鉛筆で着色して座席に座らせました。
胴体に自作フレームを保持するレールとして「3㎜コの字プラ材」を接着。
自作フレームをレールに乗せ、スライドさせて胴体の奥に操縦室を配置できるようにしました。
コックピット内部も出来上がりました。
アンテナ
後端に取り付けられている2本のアンテナを0.8㎜の真鍮線に交換することにしました。キットの部品を参考にしつつ、少し長めに2本切り出し、後端に向かって細くなるように削りました。
キットのアンテナを切り取り、自作したアンテナを長さを調整しつつ取り付けました。
LEDの組み込み
今回の製作では、コックピットと客室をLEDで光らせました。客席の後ろの天井にLEDを配置し、前方を照らすことでコックピットと客室の両方を光らせています。
適当なサイズに切り出した穴あき基板を用意して、LEDや配線などをはんだ付けし、客室の後ろに接着しました。また、客室の隔壁の上部を切り欠いて、コックピットまで光が届くようにしました。
電源として単三乾電池2個を使用して、3Vを供給することにしました。機体内部に電池ボックスがぴったり収まりました。
キットの機体部品は、エンジンのあたりで前後に分かれています。機体前後を接着せずにネオジム磁石で固定し、分割可能としました。これにより、電池の交換を行うことができます。
電池ボックスの下のスペースに電源ON/OFFのためのスライドスイッチを配置しました。
光漏れ対策のため、内部にアルミ箔を貼り付けたうえで、機体全体にガイアノーツGS-03「サーフェイサーエヴォブラック」で下塗りを行いました。
デカール
パンナムのマークが省略されているのですが、タイミングよく社外品のデカールが発売されたので、購入して使用しました。
購入したのはマゴノテプロダクツの 「スペースクリッパーロゴデカールセット V3」です。
マゴノテプロダクツのブログ、映画のDVDを参考にして、パンナムのロゴマークと胴体側面の「PAN AMERICAN」の文字を貼ってみました。
主翼下面の「PAN AM」の文字ですが、DVDも確認しましたが結局貼る位置が分かりませんでした。いずれ情報が得られたら貼ることにして、それまで保管しておくことにしました。
キットに付属するデカールは3次元曲面に全くなじまないうえに割れやすいです。ニスの部分を取り除いたり、分割したりして貼りました。かけてしまった部分は細くとがらせたシャープペンシルで線を描いて修正しました。
全体につや消しクリアーを吹き付けて、つやを整えました。
デカールが固くて苦戦しましたが、何とか形になりました。
製作過程(リンク)
「オリオン号」の製作過程につきましては、以下をご覧ください。
ご覧いただき、ありがとうございました。メビウスモデル1/160「スペースクリッパー オリオン号」でした。
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