DVDでヒッチコック監督の映画「バルカン超特急」を観ました。
ヒッチコック監督の映画はやっぱり面白いですね。
映画の内容について
ミステリーの帝王といわれたアルフレッド・ヒッチコック監督の映画です。DVDのパッケージに「列車スリラー」と紹介されていますが、恐怖をあおるような内容ではないです。恐怖映画が苦手な方でも安心して観ることができると思います。
邦題が「バルカン超特急」となっていますが、原題は「The Lady Vanishes」で、「消えた女」ということになります。「The Wheel Spins」という小説が原作のようです。「バルカン超特急」と「消えた女」では、大分印象が違うような気がしますが、原作小説のタイトルも考えると「バルカン超特急」もありのような気がします。
ヒッチコック監督は、イギリスで映画を制作していましたが、ハリウッドから注目されたことにより、1940年に渡米し、ハリウッドで映画を制作するようになります。この映画は1938年公開で、イギリス時代の後期に制作されたものです。ヒッチコック監督がハリウッドからも注目されるようになった頃の作品ということで、公開当時の評価も高かったようです。
ヒッチコック監督は自分の映画に一瞬だけ登場する、いわゆる「カメオ出演」で有名です。はたしてこの映画にも登場するのか?見逃さないようにしましょう。
映画の感想
全体的に、ストーリー展開のテンポが良く、張られた伏線が回収されていくのが楽しい映画でした。登場人物のキャラクターもよく考えられており、各々が己の事情で振舞うことで、主人公が感じている謎が深まっていくような描写が面白かったです。
映画の序盤で、英語以外の言語を喋る人々が登場します。今回は字幕版を見たのですが、この英語以外の言語には字幕が当てられておらず、戸惑いました。言葉も分からない国を旅する異国情緒が感じられて、これはこれでありだなと思いました。
また、映画の序盤では、だれが主人公なのかもよく分かりません。細かいエピソードが積み重なる感じで、全体像がつかめない感じがするのです。やがて事件が起こり、謎が姿を現すさまは、マニュアル式のカメラで、ぼんやりした画像からシャープにピントを合わせていくような面白い効果があると思いました。
全体に映像がボヤっとした感じがします。単に古い映画ということなのかもしれませんが、模型を使った特撮部分と通常の映像との違和感が吸収されているように感じました。
個人的にはコミカルと感じる部分も多く、ツボにはまる感じで楽しめました。
映画に登場する乗り物
タイトルにもある通り、列車が主要な舞台となります。古い蒸気機関車の列車で、「超特急」というほど速い感じはしませんでしたが、「バルカン急行」では「オリエント急行」と被りすぎる、ということかもしれません。
蒸気機関車についてはあまり詳しくないのですが、そのメカニズムはなかなか魅力的なものがありますね。
(映画とは関係ないですが、蒸気機関車の写真がありましたので、掲載しておきます。)
また、映画の後半でクラシカルな乗用車が登場します。フォード・モデルAのようにも見えますが、違う車種かもしれません。
フォード・モデルAは、有名なフォード・モデルT、いわゆるT型フォードの後継車として生産された自動車です。フォード・モデルTは1927年12月に生産が終了し、翌1928年から1931年まで生産されていたようです。4年間に3回モデルチェンジを行ったらしいです。
映画に登場した自動車は、このフォード・モデルAに似ています。全体の形状も類似していますし、バンパーが2枚の鉄板で形作られているような形状なのもよく似ているように思います。ただし、エンジン横のパネルに刻まれたスリット状の旧排気口がないように見えます。3回モデルチェンジされたようなので、スリットがないタイプもあるのかもしれませんが、詳細は把握していません。
映画の公開は1983年なので、1928年から31年まで生産されたモデルAが映画に登場しても矛盾はしないです。予算削減のために、古い車を登場させた、というようなことなのでしょうか?
映画に一瞬登場する救急車も気になりますが、後姿が少し見えるだけで、どんな自動車かは分かりませんでした。黒っぽい車体が霊柩車に見えてしまいました。
戦前の自動車については、知らないことが多いですが、クラシカルな姿に魅力を感じます。
(フォード・モデルTの写真がありました。関係ないですが、掲載しておきます。)
ご覧いただきありがとうございました。映画「バルカン超特急」でした。
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