【プラモ】「ヘルキャット」を作りながら【映画】「硫黄島の砂」を観た

映画

「F6Fヘルキャット」の製作で凸リベットの復元が上手くいかず、苦戦しています。気分転換に、「ヘルキャット」が登場する映画がないか、探してみることにしました。

「ヘルキャット」は1943年に就役し、太平洋戦争後半に活躍しましたので、その時期を題材とした映画に登場するかもしれないです。そこで、手持ちのDVDの中から「硫黄島の砂」を観てみました。

このDVD、購入後まだ一度も観ていません。果たして「ヘルキャット」は登場するのか?

映画の内容について

太平洋戦争におけるアメリカ海兵隊の活躍を描いた映画です。1949年にアメリカで製作されましたが、海兵隊の全面的な協力を得られたようです。

パッケージ裏にも書かれていますが、アメリカ海兵隊のタラワ島、硫黄島における日本軍との激闘が描かれます。硫黄島の戦いを細かく描写していく、という内容ではなかったです。

あくまでアメリカ海兵隊の一般兵士の目線で物語が進んでいきます。戦争の経緯や硫黄島を攻略する目的などはほとんど説明されません。日本側の描写も少なく、姿の見えない強敵として描かれます。一般の海兵隊員に焦点を絞った映画といえると思います。

映画の感想

戦闘シーンでは、映画のために撮影したシーンの合間に、演習時、あるいは実戦の記録映像と思われる映像が映されます。画面の中で使用されている弾薬の量が多く、迫力がある、というのとは違う怖さを感じました。

また、味方の兵隊があっさりやられていくシーンが続きます。手ごわい日本軍にぶつかった時のアメリカ兵の狼狽ぶりと相まって、見ているのが辛くなってくる場面もありました。

率直に言って、かなりヘビーな戦争映画でした。

主演のジョンウェインは、軍曹として隊を率いる役を演じています。優れた上司ではなく、いわゆる鬼軍曹として、部下との軋轢が描かれます。理想的な強い男でなはい点にドラマが感じられました。

この映画が製作された1949年は、太平洋戦争には勝利したものの、朝鮮半島、ベトナムなどが日増しに不安定化していく時期に当たります。この映画が公開されたのも、アメリカの一般市民の、海兵隊に対する関心の現れなのかもしれません。

製作時期が1949年ということで、硫黄島作戦の頃にも使用されていたであろう兵器の運用状態を動画で見ることができ、模型製作時の参考資料としての価値も高いと思いました。

海兵隊戦争記念碑

DVDのパッケージ裏に掲載された映画の一場面に、硫黄島の摺鉢山(すりばちやま)の頂上に星条旗が打ち立てられる場面が掲載されています。

DVDのパッケージ裏に掲載されている写真です。

これは、アメリカの報道写真家ジョー・ローゼンタールが撮影した有名な写真をモチーフにしています。アメリカのアーリントン国立墓地の一角には、ローゼンタールの写真をベースにした「海兵隊戦争記念碑」があります。

国立墓地に記念碑を立ててしまうぐらいなので、アメリカ人にとって、硫黄島の戦いは大きな意味を持っているようです。ニューズウィーク2020年12月5日号に、「海兵隊戦争記念碑」についての記事が掲載されています。参考までにご紹介いたします。

日本側はどうだったかというと

このころには、アメリカの圧倒的な物量に押されて、完全な負け戦になっていたようです。ただし、ペリリュウ島などの戦訓を踏まえて、島中に地下壕を掘ってゲリラ戦で応じたようです。

日本軍の粘り強い戦い方に、圧倒的な戦力で攻撃してきたアメリカ軍は予想外の大きな痛手をこうむったようです。第二次世界大戦中でも大きな損失を出した戦いの一つとして記憶されているようです。

映画では、日本側の戦いについてはほとんど描かれません。例えば以下の書籍が参考になると思います。

この本は、以前は「闘魂 硫黄島」というタイトルでしたが、平成30年に「回想 硫黄島」に改題されたものです。

映画に出てきた乗り物

海兵隊の協力ということもあり、戦艦、空母からジープまで、太平洋戦争中のアメリカ軍の兵器のオンパレードでした。LSTなど、上陸作戦用の船舶が登場するところが海兵隊らしいところです。

海兵隊を戦地に運ぶ貨物船も、地味ながらしっかり活躍していました。

貨物船が登場するシーンにハルナンバー473の駆逐艦も登場します。これはフレッチャー級の「ベネット」と思われます。1946年に退役して、ブラジル海軍に移籍しているようです。綱渡しで貨物船に荷物を送っているのですが、これも当時の映像でしょうか。

このように様々な乗り物が登場しますが、中でも目を引いたのが、「LVT」です。「LVT」は「Landing Vehicle Tracked(上陸用装軌車)」の略で、水陸両用の兵員輸送車です。「アムトラック」とも呼ばれます。これに砲塔を搭載した「アムタンク」というタイプも存在します。

アムタンク
後ろからワニが!

いくつかのタイプがあるのですが、映画に登場したのは「LVT-2」のようですね。

海上では、車体のほとんどが海中に没しており、水をかき分けて進んでいるような感じです。実際に上陸作戦で運用される様が映像で見られるのは、映画とは言えなかなか興味深いものがありました。

そして大戦中のアメリカ軍を代表する「M4シャーマン」戦車も登場します。硫黄島のシーンに「COMET38」と書かれた車両が登場しますが、これは実際に硫黄島で使われた車両のようです。やはり、実戦の記録映像が使われていたのですね。

また、「火炎放射型M4シャーマン」が登場しました。その火炎放射攻撃のリーチの長さも、実際に映像で見ると恐ろしいものがありました。

DVDパッケージ裏に掲載されている映画の一シーンです。

「火炎放射型M4シャーマン」には、様々なバリエーションがあります。映画に登場したのは、主砲の横に火炎放射器の筒が装備されたタイプです。車体後部の排気ディフレクターの形状などからも、戦後に改修された車両と思われます。

一方で、日本軍の乗り物はほとんど登場しませんでした。が、「火炎放射型M4シャーマン」が登場するシーンで、「シャーマン」のバックに戦車の残骸が写ります。逆光でよくわからないのですが、シルエットから「九五式軽戦車」ではないかと思われます。

アメリカの「M3スチュアート」に見えなくもないですが、キューポラのハッチが半円形だったり、起動輪のあたりの感じとか、主砲基部の感じとか、すごく「九五式軽戦車」っぽいのです。「M3スチュアート」を改造した撮影用の張りぼてか何かなのだろうか?

乗り物ではないですが、日本兵がトーチカの中で撃ちまくっていたのは、「九九式軽機関銃」ですね。鹵獲兵器がたくさん残っていたのか、監督がマニアックなのか・・・ディテールに魂が宿った映画でした。

「F6Fヘルキャット」は?

そもそも飛行機の活躍するシーンが少ないのですが、空母から艦載機が出撃するシーンで、一瞬だけ出てきました。甲板上には多数の「ヘルキャット」が並んでいました。ただし、「F4Uコルセア」の方が目立っていましたね。

以前製作したレーダー付きの夜戦型です。こいつは出てきませんでした。

一瞬とはいえ「F6Fヘルキャット」の姿を見ることができました。他にいろいろ作りたくなってしまいましたが、引き続き「ヘルキャット」を製作していくこととします。

つづく。

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