【プラモ】海面ベースの製作(1)とにかく作ってみた。

艦船

ピットロードの占守型海防艦4隻が完成しました。次は、海面ベースを製作してみました。出来上がったのがこれです。

択捉型海防艦

占守型ではなく択捉型海防艦が・・・

当初は、占守型海防艦のベースを作成していたつもりでした。海の色を塗った段階まで出来上がったものを、身内の水産学科出身者に見せてみたところ、「フィリピンの辺りの海ですか?」と言われてしまいました。海の色が鮮やかなので、南の海に見える、ということのようです。

このベースに組み合わせようとしている占守型海防艦4隻のうち、南方の海域に配備されたのは「占守」1隻のみです。そこで、当初は「占守」が艦首を失う前の情景にしようと考えていました。潜水艦からの魚雷を回避しようとしているところを再現してみようと考えたのです。

しかし、詳しく調べてみると、「占守」は今回作成したピットロードの組み立て説明書に記載された昭和19年の姿になったことがない、ということが判明してしまったのです。

占守型海防艦 「占守」はこの姿になっていない。

「占守」は昭和19年にマストを改修して電探を装備しています。しかし、機銃や迫撃砲を増設したのは雷撃で失った艦首を修理した際である、ということが分かったのです。そのため、今回作成した4隻の「占守型海防艦」はどれも南方の海域にはマッチしない、ということになってしまいました。

幸い、少し前に「占守型海防艦」の準同型艦である「択捉型海防艦」を制作していました。「択捉型海防艦」は南方に配備するために量産された艦であり、実際に多数が南方海域に配備されております。また、「択捉型海防艦」は「占守型海防艦」の準同型艦であるため、船体の形がほぼ同じです。

択捉型海防艦

「択捉型海防艦」を設置することとすれば、作成中の海面ベースをそのまま使用できます。そのため、代わりに「択捉型海防艦」を使用することにしました。

海の色について

海の色については、以下の要因が影響するようです。

  1. 空の色
  2. 海の深さ
  3. 海水の濁り具合

1の空の色について、そもそも海が青いのは、空の青さを映しているため、というのはご存じの方も多いでしょう。夜は黒いですし、曇りや雨の日はグレーだったりします。季節や時間帯の影響も受けますので、海の色は千差万別と言えます。

2の海の深さについて、海面が光を反射しなければ、海底の見え具合や、海の中への光の届き具合が海の色になるはずです。浅瀬では海底が見えますが、海底が深い沖合では暗い色に見えます。

そして3の海水の濁り具合について、海の水が濁ることで、その色も変化することは想像に難くないと思います。海水の濁りの原因の一つとして、プランクトンが挙げられます。プランクトンが多いと、海水の反射率が下がり、海面の色が暗い色になる傾向があります。また、プランクトンそのものの存在により、海水が濁った色になる傾向があります。

これを応用することで、使用する色により、作品がどの海域なのかを表現しているかを表せると考えています。例えば、鮮やかな色を使うと南方の海を表現でき、濁った色を使うと北方の海を表現できる、といった具合です。ここで、鮮やかな色というのは、明るい色ということではなく、彩度が高い色という点に注意してください。

海面ベースの作成 スタイロフォームの加工

艦船模型スペシャルNo.64に海面ベースを作成した作例が掲載されておりました。これを参考にして、スタイロフォームを使って海面ベースを作ってみようと思いました。

まずは、とにかく作ってみようと思い、以下の材料を入手しました。

  • 厚さ20mmのスタイロフォーム
  • セメダインの木工パテ
  • リキテックスのグロスポリマーメディウム

スタイロフォーム、木工パテはホームセンターで購入してきました。スタイロフォームはそもそも建築用材料で、大きなものしか売っていなかったです。車のリアシートを倒して運びました。

海面の制作は今回が初めてなので、まずは、小さめの海面ベースを作ってみることとしました。晴天で取り舵(左旋回)の場面を再現することにしました。

最初にスタイロフォームを適当な大きさに切り出しました。その際、未完成の海防艦の船体をガイドとして使用することにしました。手持ちの「占守型海防艦」のキットはすべて作ってしまいましたが、準同型艦の「択捉型海防艦」がありましたので、船体と船底板を接着して用意しました。

取り舵で左に旋回し始めているイメージの航走波の線を描いてみました。

航走波のイメージは、ウォーターラインガイドブックを参考にしました。

そして、真鍮ブラシを使って描いた線の部分を削りました。後にして思うと、これが大きな間違いの原因でした。

海面ベースの作成 木工パテの塗り付け

次の段階として、スタイロフォームの海面ベースに木工パテを塗りつけていきました。塗り付けには、油絵で用いるコテを使用。以前ご紹介した砂漠の飾り台と同様に2種類のコテを使い分けて塗りつけていきました。

コテ

ペースト状のものを塗りつけるときは、これらを多用しています。

ふちの方など、まだかなり荒い状態

ここで、スタイロフォームを真鍮ブラシで削ったことによる弊害が発生しました。表面が荒すぎて、木工パテが大量に必要になってしまったのです。塗ってはやすり掛けを繰り返して、ある程度滑らかな状態とすることができました。目の粗いやすりで加工することをお勧めします。

海面の色とグロスポリマーメディウムの塗装

ベースの表面がある程度滑らかになってきたところで、色を塗ってみました。使用したのは、クレオスのC322「フタロシアニンブルー」です。筆塗りで塗りむらを残しつつ塗りました。

あえて塗りむらを残したのは、前出の水産学科出身者のアドバイスを参考としたためです。そもそも海の色は1色ではないとのことでしたので、塗りむらによる色の濃淡を残すようにしました。また、白っぽい部分は海中の泡っぽく見えるとのことでした。ただし、1/700というスケールを考えると、白っぽい部分は大げさに見えました。これは後ほど修正することにしました。

十分乾燥したところで、グロスポリマーメディウムを原液のまま薄めずに筆塗りしました。

そして、海の表面に無数に存在する小さな波を表すため、歯ブラシで表面をトントンとたたきました。グロスポリマーメディウムを塗った直後は、まだ表面が柔らかすぎて、歯ブラシでたたいても元の平らな状態に戻ってしまいますが、ある程度固まってくると、細かい凹凸ができるようになります。

1/700というスケールを考えて、凹凸がかなり細かくなるまでたたき続けました。凹凸のサイズなどを調整すると、他のスケールのモデルで、例えば雨が降り始めた状態などの再現にも使えるかもしれません。

そしてここで、さらなる問題に気が付いてしまいました。

航走波の形について

そもそも航走波とは、船が進行することで海水が押しのけられてできるはずです。

しかし、今回作成した海面では、一番前の航走波が船よりかなり前に来てしまっているのです。スタイロフォームを削る時点で、航走波の山となるべき部分を削ってしまったのが間違いだったのです。

仕方がないので、船の位置を少し前に移動させることにしました。

艦首の部分をデザインナイフで削り、船体中央から艦尾にかけてのあたりにパテを盛りつけておきました。

そして、パテの部分を含め、筆で全体に色を塗りつけていきました。この時、完全にべた塗りにならないように、色の濃淡を残すようにしました。

最後にもう一度グロスポリマーメディウムを塗り、歯ブラシでトントンと叩いておきました。

写真の撮り方でも大分色が変わって見えますね。

艦首波、泡、航跡など

艦首波の形をイメージするため、いろいろな船の写真を眺めてみました。帝国海軍の駆逐艦などは、艦首から艦橋あたりまで艦首波が形成されている写真もありました。帝国海軍の駆逐艦は、30ノットを超える高速で航行することができます。一方、「占守型海防艦」や「択捉型海防艦」は、最高速度が19ノットとされています。従って、艦首波もそれほど大きくはならないと考えました。

ガイドとして使用している「択捉型海防艦」の船体にマスキングテープを貼り、ベースに仮止めしました。

そして、艦首波などをパテで盛り付けていきました。船の位置を変更したことで、船体中央から艦尾にかけて大きな隙間ができたので、これも埋めておきました。

艦首の部分は、波を蹴立てているようにパテを盛りつけました。

パテが固まったところで船体を引きはがし、筆塗りで「フタロシアニンブルー」を塗りました。

船が航行することで船体周辺に泡が発生します。水中に多数の泡を含んだ様子を表現するため、船体周辺及び航跡の部分にエアブラシでクレオスのC323「ライトブルー」を塗りました。

C322とC323を塗った状態。ブルーインパルスを塗ってるみたいです。

さらに、水面上に発生する泡を追加していきます。使用したのは、タミヤのデコレーションシリーズNo.26「トッピングの達人(砂糖)」とNo.27「トッピングの達人(粉砂糖)」です。

「砂糖」より「粉砂糖」の方がより鮮やかな白で、「砂糖」の上に「粉砂糖」を塗るとよさそうです。まずは、「砂糖」を筆で塗りつけてみました。

一回目

一度に塗ろうとせず、何度かに分けて塗った方がよさそうです。陰影を意識して、奥まった部分に「砂糖」、出っ張った部分に「粉砂糖」という風に塗っていきました。塗り付けには、筆のほかにつま楊枝も使用しました。そして、最後にグロスポリマーメディウムを塗り、周辺とツヤ具合をなじませました。

形が左右で異なってますが、取り舵ということで許してね。

海面ベースの側面には、タミヤアクリル塗料のロイヤルブルーをガイアノーツのモデレイト溶剤で希釈したものをスプレー塗装しておきました。

色を若干変えることで、断面の感じが出てるかな?

海防艦の設置

ガイド用の船体を仮置きして干渉する部分を調整した後、「択捉型海防艦」を設置しました。

この時点では、まだ喫水線部分と海面の間に隙間があります。

舷側に隙間が・・・

艦尾にも・・・

前出のデコレーションシリーズの「粉砂糖」で隙間を目立たなくしました。

航行中の雰囲気を出すため、煙突に黒煙を取り付けることにしました。使用したのは、手芸用の黒いフェルト(ハマナカ アクレーヌ黒)です。これをほぐして煙突に取り付けました。

そして、リギングを施し、軍艦旗を取り付けました。

軍艦旗は、タミヤの阿武隈に付属していた軍艦旗シートから持ってきました。複数のサイズのものが含まれており、阿武隈では使用しない一番小さいものを取り付けてみました。

完成です!

取り舵で左旋回しているので、遠心力で船が傾いている様子を再現してみました。

初めて海面を作ってみましたが、海の様子がよく分からず、苦労しました。

船が活躍する映画を見たりして研究してみようと思います。

今回は、泡を表現する素材として、たまたま手元にデコレーションシリーズを使用しましたが、タミヤのウェザリングペーストNo.119「情景テクスチャーペイント(雪 ホワイト)」とNo.120「情景テクスチャーペイント(粉雪 ホワイト)」でもよいと思います。

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