本ブログで製作過程を紹介してきた、レベル1/32「VWケーファ(ビートル)」が完成しました。ちなみに「ケーファ」とは、ドイツ語で「カブトムシ」つまり、「ビートル」を意味します。
改めて、完成品をご紹介いたします。
VWビートル
ご存じ「フォルクスワーゲン ビートル」です。「タイプ1」と呼ばれたりもします。古い車ですが、まだたまに実車を見かけますね。
第二次世界大戦中に「KdF」として誕生した「フォルクスワーゲン・ビートル」は 、折り悪く勃発した第二次世界大戦により、ドイツ陸軍に採用され、主に連絡用として使用されました。
さらに「KdF」をベースとして「キューベルワーゲン」や「シュビムワーゲン」も生産されました。
終戦後は乗用車として生産されることとなり、ドイツ本国では1978年まで生産が続けられ、ドイツでの生産終了後もメキシコやブラジルで生産されたという息の長い車です。
レベル1/32のキットは、いつ頃の「ビートル」をモデル化しているのか?
「ビートル」は、その生産時期が長いがゆえに、リヤウィンドウ、バンパー、ウィンカー、ヘッドライトおよびテールランプ・ハウジングなど、年式によってさまざまな違いがあります。製作したキットがどの年代に生産されたものか気になったので、以下の書籍を参照して調べてみました。
三樹書房 | フォルクスワーゲン・ビートル |
ネコ・パブリッシング | ワールドカーガイド5フォルクスワーゲン |
企画室ネコ | ネコ・ヒストリック・カー・ブックス4フォルクスワーゲン |
レベル1/32の「ビートル」は、前から見ると、以下の特徴を有しています。
- フロントウィンドウが平面のガラスで構成されている。
- 「鉄道線路」と呼ばれる頑丈なタイプのバンパーを装備している。
- フェンダー上にウィンカーが装備されている。
また、後ろから見ると、
- サイドウィンドウの後ろのエアダクトがない。
- エンジンリッドに通気口がない。
- テールランプ・ハウジングが三角型(楕円の下側が平らになったような形)である。
これらの特徴から、今回製作したレベル1/32の「ビートル」は、1968年以降に生産された「VW1300」または「VW1500」ではないかと推定しました。ちなみに「VW1300」と「VW1500」はエンジンが異なります。外見的な違いはなさそうです。
「ビートル」は1970年にエンジン、シャシーからボディ細部に至るまで、大幅な改良がくわえられ、VW1302に生まれ変わりました。
1972年には、それまで平面だったフロントウィンドウが丸みを帯びたカーヴド・ウィンドウに変更される、などの改良が施されたVW1303が登場しました。
VW1302,VW1303は1.3ℓのエンジンを搭載していましたが、「S」が付くVW1302S、VW1303Sは、パワフルな1.6ℓのエンジンを搭載していました。
「ビートル」のキットは、1970年に改良される前の古いタイプのものが多いように思います。細いバンパーや丸いカバーのついたホイールなど、クラシカルなイメージが再現されています。
レベル1/32の「ビートル」は、改良前のタイプではあるものの、「鉄道線路」タイプのバンパーや、リヤのテールランプ・ハウジングの形状など、改良型の面影も感じられるタイプを再現しています。
モダンなイメージのビートルを再現しており、他と一線を画しているところが貴重だと思います。
製作時のポイント
スケールが1/32ということもあり、部品点数は少ないです。ボディーとシャシーをひっかけて固定できるようになっていたりして、スナップフィットを目指していたのでは、とも思えますが、パッケージの説明書きなどには「接着剤が必要」と書かれています。
パチパチっと組み立てて、サクッと完成!といきたかったですが、実際はかなり手ごわいキットで、以下のような手間をかけて完成させました。
- ヘッドライトを別部品として作り直す。
- バンパーのステーを作り直す。
- 窓ガラスを作り直す。
- マフラーを真鍮パイプに置き換える。
この時代の古い車は、メッキの部品も魅力の一つであると思います。今回は、ガイアノーツの「プレミアムミラークローム」を使用して、バンパー、窓枠、ドアノブ、モールなどにメッキ調塗装を行いました。
ヘッドライトの別部品化
ヘッドライトは、ボディに一体で成型されています。フロントフェンダー上のパーティングラインがヘッドライトリムの上面に及んでいます。これを整形しつつ、きれいな円筒に整えるのは、かなり難しいと思います。
そこで、ヘッドライトは別部品として製作することにしました。ドリルとやすりでヘッドライトの部分に穴を開け、コトブキヤとモデルファクトリーヒロのパーツで作り変えました。
- コトブキヤ モデリングサポートグッズ PC110「丸ノズルL」(直径7mmのものを使用)
- モデルファクトリーヒロ 「ライトレンズ&メーターレンズセット」 部品B2
バンパーステーの修正
バンパーのステーですが、実車とは異なる形状をしています。なぜこのようか形状なのかは謎なのですが、もしかしたらスナップフィットを意識して、このような形としたのかもしれません。
バンパーのステーの部分を切り離し、代わりにエバーグリーンの「プラボウ平棒2.0mm×2.5mm」でステーを製作しました。
塗装してボディに接着しました。
窓ガラスの修正
窓ガラスのパーツは、一体成型のクリアパーツですが、ボディーより一回り小さく、全くフィットしませんでした。
幸い、この年式のビートルの場合は窓ガラスが平面または二次曲面で作られています。そこで、USBケーブルのパッケージの透明な塩ビ板から、フロント、リヤおよび左右のサイドウィンドウの四枚を切り出して使用しました。
マフラーの修正
キットのマフラーはシャシーと一体で成型され、ボディとシャシーを接続するためのダボとしての役割を担っています。また、長さも短いです。
実車の構造に合わせて修正しました。ボディ側のマフラーが通る穴の下側を削り取り、マフラーは真鍮パイプに置き換えました。
ジオラマベースも製作しました。
「ビートル」を飾るためのディスプレイベースも製作しました。
白い柵は、アイスクリームの棒を半分に切ったものを並べて作りました。両脇の支柱は、使い古しの竹箸から切り出しました。
そして、ターナーの「ミルクペイント」を塗りました。「ミルクペイント」の「クラッキングメディウム」と「アンティークメディウム」を使用して、古びた感じを出しました。
この「ミルクペイント」は、牛乳から作られた塗料です。各種のメディウムが用意されており、ひび割れや古びた感じなどを手軽に表現することができます。
柵の向こう側の樹木は、和功の「紙造り オーク 1/35」を使用しました。樹木を大きく作りすぎて、葉の密度が足りなくなってしまいました。次に樹木を製作する際の注意点ですね。
ビートルを乗せてみました。
この古い「ビートル」ですが、いまだに見かけることがあります。私が住んでいる地域にも、複数台稼働状態と思われる個体が存在しています。もう何十年も前の車なのに、すごいことですよね。
「シャイニング」はどうなった?
ちなみに、スタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」というホラー映画に黄色いビートルが登場します。この映画「シャイニング」を観て「ビートル」を作りたくなったはずなのですが、「シャイニング」とは全く異なる場所に到達してしまいました。
「How do you like it ?」
「How do you like it ?」
「How do you like it ?」
「ギャー」
失礼しました。
「シャイニング」はもう公開が終わってしまいましたが、「午前10時の映画祭」という企画で、名作映画を映画館で観ることができます。お気に入りの映画を映画館で見ると、また違った魅力に気付けるかもしれません。おすすめです。
「午前十時の映画祭」につきましては、以下をご覧ください。(新しいタブで開きます。)
製作過程
「ビートル」の製作過程につきましては、以下をご覧ください。
【プラモ】レベル1/32「VWケーファ(ビートル)」の製作(1)ボディの加工
【プラモ】レベル1/32「VWケーファ(ビートル)」の製作(2)ボディの塗装、各部品の加工
【プラモ】レベル1/32「VWケーファ(ビートル)」の製作(3)メッキ調塗装、各部を塗装、組み立てて完成
また、ジオラマベースの製作については、以下をご覧ください。
【プラモ】ミルクペイントとアイスクリームの棒でジオラマベースの柵を製作
そしてそして、黄色い「ビートル」が登場する映画「シャイニング」については、以下をご覧ください。
【映画】映画館で「シャイニング」を観てきたら「ビートル」を作りたくなった
映画「シャイニング」に登場したのは、今回製作したものより後の年式の「VW1303」または「VW1303S」と思われます。「VW1303S」としては、古いイマイのキットがアオシマから発売されていますが、内装が上げ底なのが難点です。うかつに手を出すと泥沼にはまってしまいそうで怖いです。でも、いずれチャレンジしてみようかなぁ。
ご覧いただき、ありがとうございました。レベル1/32の「ビートル」でした。
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