タカラ1/72「コンバットビークルセット」より、ブルーグレーの兵員輸送車を製作。「太陽の牙 ダグラム」第5話をイメージして2台製作しました。

今回製作した2台では、すでに製作済みの1台で実施した修正に加えて、さらに細部を修正。また塗装の方法も変更しました。

以下で説明します。
製作方針
コンバットビークルセットの兵員輸送車はすでにグリーンのものを1台製作しています。今回は新たに2台製作します。

最初の1台では、以下の修正を行いました。
- サイドミラーのステーを真鍮線に置き換えた。
- 真鍮線でアンテナを追加した。
- ヘッドライトのレンズをクリアパーツに置き換えた。

今回はこれに加えて以下の修正を行います。
- 設定画に合わせてサイドミラーを左右両方に設置する。
- アンテナ基部をスプリングっぽくなるように作り直す。
- 車体前面下部のフックの付け根をプラバンで作り直す。
- 車体前部窓のカバーを開状態とする。
また、塗装も変えてみます。
最初の1台ではタミヤの「チッピング液」とリキテックスの水性アクリル絵の具の組み合わせでチッピングを行いました。

ラッカー系塗料で下塗りを行った上に「チッピング液」、水性アクリル塗料「フラットクリアー」を塗り重ね、その上に水性アクリル塗料を塗りました。
今回は以下の2つの方法でチッピングを行ってみることにします。
- タミヤのチッピング液とタミヤ水性アクリル塗料
- クレオスのシリコンバリアとMr.カラーラッカー系塗料
製作済みの1台について、詳しくは以下をご覧ください。(新しいタブで開きます。)
【プラモ】タカラ 1/72 「コンバットビークルセット」の製作(1)製作開始、思ったより手間がかかるぞ。
【プラモ】タカラ 1/72 「コンバットビークルセット」の製作(3)兵員輸送車、軍用トラックの製作を進めた。
【プラモ】タカラ 1/72 「コンバットビークルセット」の製作(4)車両2台が完成。もう1台は・・・

兵員輸送車「ブロムリー ST-48D」の組み立てと下塗り
各部のディテールアップなど
サイドミラーのディテールアップ
キットのサイドミラーは車体前端部と一体で成形されています。片側にしかついていませんが、設定画では両側についています。

キットのサイドミラーは厚みが1㎜でした。そこで、1㎜プラバンからキットのパーツに合わせて長方形の板を切り出しました。これを追加分のサイドミラーとします。

ステーは0.4㎜の真鍮線で作り直しました。そして、0.5㎜のドリルを用いて車体前端の側面とサイドミラーの側面に穴を開けました。この穴にステーを差し込んで固定します。

そしてサイドミラーの鏡の面にクレオスGx-2「ウィノーブラック」を下塗りした後、ガイアカラー を塗りました。

サイドミラーのディテールアップは一旦ここまでとし、製作段階が進んだところで取り付け、塗装を行います。
アンテナのディテールアップ
アンテナの基部は車体と一体成型です。型抜きの関係でただの棒ですが、本来は一部がスプリングのような形状をしています。

そこで、アンテナおよび基部を自作しました。アンテナ本体には0.4㎜の真鍮線、基部を1.0㎜と1.4㎜の真鍮パイプ、スプリングの部分を0.2㎜ポリウレタン銅線を使用しました。


パーツが細かくてスプリングの部分にポリウレタン銅線を上手く巻き付けられませんでした。そこで、一旦1.0㎜径のドリルに巻き付けてスプリング状にした後、1.0㎜真鍮パイプの部分にはめ込みました。

車体と一体で成形されているアンテナ基部は、台座の部分から切り取りました。そして台座に1.5㎜と0.5㎜のドリルでアンテナを取り付けるための穴を開けました。

試しにアンテナを差し込んでみました。上手くいきそうです。

アンテナ全体にクレオス「メタルプライマー」を塗った後、ガイアカラーEx-7「Exシルバー」を塗りました。

取り付けは車体の塗装が完了した後に行います。
車体前面下部のフックのディテールアップ
車体前面下部フックの基部は幅があり過ぎて、そのままフックを取り付けると広がり気味になってしまいます。

これに対処するため、一旦基部を切り取って作り直すことにしました。
まず車体前面下部からフックの基部を切り取りました。切り取った後に穴が開くので、プラ材とパテで埋めました。

次にキットのパーツに合わせて台形のパーツを1㎜プラバンから切り出し、フック基部の位置に接着。

そしてキットのフックを取り付け部分の出っ張りを切り取って接着しました。

フックが広がらず、ピタリと収まりました。
車体前部窓のカバー
車体前部窓のカバー(部品番号C34)はオープンの状態で取り付けることにしました。ただし、キットのパーツのままでは接着面の広さが不十分で上手く接着できなさそうに感じました。

そこで、のりしろとして0.1㎜プラバンの帯を接着しました。

車体内部側にクレオスMr.カラーC128「灰緑色」を塗り、クレオスウェザリングカラーWC01「マルチブラック」でウェザリングを実施。さらに長方形の部分にタミヤエナメル塗料X-18「セミグロスブラック」を塗りました。

取り付けは車体色を塗装した後に行います。
組み立てと下地塗装
車体内部を1台目と同様に塗装しました。ヘッドライトの内側にコトブキヤのパーツを接着してみましたが、完成後は全く見えなくなってしまいました。

シートや操縦席のコントロールボックスなどを接着。ハンドルの取り付け位置も変更しました。

詳細は以下をご覧ください。
また、ヘッドライトも1台目と同様に加工。丸く切り出したプラバンを塗装してウェーブの「Hアイズ3ミニ」のレンズを接着しました。

出来上がったヘッドライトパーツの取り付けは塗装完了後に行います。
最後に車体上下を接着し、下地としてクレオスMr.カラーC73「エアクラフトグレー」にC189「フラットベースなめらか・スムース」を加えたものを塗りました。

次はタミヤの「チッピング液」とクレオスの「シリコンバリア」を用いてチッピングを行います。
塗装とチッピング
1台目はタミヤ「チッピング液」+水性アクリル塗料でチッピング
2台の兵員輸送車のうち1台にタミヤの「チッピング液」を筆塗しました。

1日乾燥させた後、2回目を塗り、さらに1日乾燥させました。

下地のつや消し度合いが不十分だったためか、まだらになってしまいました。しかし、部分的に塗料がはがれればよいので、このまま進めることにしました。

1日以上放置して「チッピング液」を十分乾燥させた後、タミヤ水性アクリル塗料XF-18「ミディアムブルー」を塗りました。

そして、デカールを貼ったのですが・・・

水で湿らせた面相筆でデカールの位置を調整していたら、塗装が少しはがれてしまいました。

「チッピング液」を使用する場合は、デカールの位置決めには注意が必要ですね。
デカールの水分が十分乾いた後、タミヤ「スミ入れ塗料(ブラック)」でウェザリングを実施。車体全体に塗布した後、タミヤ「エナメル溶剤」をしみこませた筆でふき取りました。

「エナメル溶剤」は「チッピング液」に全く影響を与えませんでした。
次はいよいよチッピングです。チッピングを行う場所に筆で水を塗って湿らせ、少し置いてから爪楊枝でひっかいて塗装をはがしました。
まずホイールの内側でチッピングを試してみました。

塗料のはがれ具合を確かめてから、車体全体のチッピングを行いました。

1台目の仕上げ
サイドミラーと車体前部窓のカバーを車体に接着。車体後部のハッチは接着せずにはめ込みました。そして転輪のタイヤの部分に、タミヤ水性アクリル塗料XF-57「バフ」を塗りました。

次に車体のエッジの部分にさらに車体各部のエッジにB4鉛筆をこすりつけ、角の塗料がはげ落ちて金属がむき出しになっている様子を再現しました。

また、タイヤには「バフ」を残し気味にしつつ、タミヤエナメル塗料XF-85「ラバーブラック」を筆塗しました。
車体前面のヘッドライトのくぼみにタミヤエナメル塗料XF-1「フラットブラック」を塗り、用意しておいたヘッドライトのパーツを接着。真ん中の逆三角型のマークには、面相筆でXF-3「フラットイエロー」を塗りました。

車体後部ハッチの可動軸が収まる穴には1㎜プラボウを差し込んで接着し、タミヤエナメル塗料XF-18「ミディアムブルー」を塗りました。


土埃を再現するため、主に車体下部に溶剤で薄めたタミヤ水性アクリル塗料XF-57「バフ」を塗り重ねました。そしてアンテナとタイヤを車体に接着しました。

テールライトにはガイアカラーEx-7「Exシルバー」を下塗りし、タミヤエナメル塗料X-27「クリアーレッド」を塗りました。

1台目はこれで完成です!

2台目はクレオス「シリコンバリア―」+Mr.カラー(ラッカー系)で製作
2台目はクレオスの「シリコンバリア―」を用いてチッピングを行いました。「シリコンバリア―」は、本来はシリコーンでパーツの型どりを行う際に用いる離型剤です。

この「シリコンバリア―」をエアブラシで車体全体に塗装しました。

十分に乾燥させた後、Mr.カラーC72「ミディアムブルー」を塗りました。

1台目と同様にデカールを貼りました。1台目と並べてみましたが・・・

思った以上に鮮やかな色合いで、全く別の色に見えて焦りました。
何とか1台目と同じ雰囲気になるようにクレオスのウェザリングカラーWC01「マルチブラック」とWC06「マルチグレー」を塗り重ねました。
最初に、全体に「マルチグレー」を塗りました。

次に、「マルチブラック」を塗った後、溶剤をしみこませた筆で部分的にふき取りました。

さらに「マルチブラック」と「マルチグレー」を混ぜたものを塗りました。そして溶剤をしみこませた綿棒を転がすようにしてふき取りを行いました。

何とかそれらしくなってきたので、全体にチッピングを実施。綿棒や爪楊枝でこすって塗料をはがしました。

塗料をはがしすぎた部分はタミヤエナメル塗料XF-18「ミディアムブルー」でタッチアップを実施。あとは1台目と同様に組み立てと細部塗装を行いました。

1台目と並べてみました。まだ色の雰囲気は異なりますが、ウェザリングを行う前と比べて違和感が緩和されたのではないかと思います。

これで2台目も完成。以前製作したグリーンのものと合わせて3台が出来上がりました!

チッピングのまとめ
塗料などを3種類の組み合わせで使用し、塗装およびチッピングを実施しました。使用してみて分かったことをまとめます。
まず、どのような組み合わせで塗装を行ったかを以下にまとめます。

番号 | 色 | 塗装 |
2 | グリーン | 「チッピング液」+水性アクリル塗料下塗り+水性アクリル絵の具 |
4 | ブルーグレー | 「チッピング液」+水性アクリル塗料 |
5 | ブルーグレー | 「シリコンバリア―」+Mr.カラー(ラッカー系) |
塗料などのメーカーは以下の通りです。
製品 | メーカー |
チッピング液 | タミヤ |
水性アクリル塗料 | タミヤ |
水性アクリル絵の具 | リキテックス |
シリコンバリア― | クレオス |
Mr.カラー(ラッカー系) | クレオス |
「チッピング液」では車体色としてタミヤの水性アクリル塗料とリキテックスの水性アクリル絵の具を試しましたが、チッピングを行った際の使用感に違いはありませんでした。
どの組み合わせでも、チッピングをうまく行うためには塗料を薄く塗ることが重要です。
「チッピング液」と「シリコンバリア―」では以下のような違いがありました。
チッピング効果の持続期間
タミヤの「チッピング液」では、その説明書きにもある通り1週間ほどで塗料が剥げやすくなる効果は消えるようです。
一方、クレオスの「シリコンバリア―」では、1週間経過した後でも変わらず塗料をはがすことが出来ました。
可動部分の多いキットで「シリコンバリア―」を使ったチッピングを行った場合は、完成後に動かしている間に塗料がはがれてくる可能性が高いと思います。まだ試していませんが、トップコートなどで保護することで対処できるかもしれません。
塗りやすさ
「シリコンバリア―」はエアブラシを使うことで簡単に塗布することが出来ました。希釈も不要で、薄く塗るだけで十分に効果を発揮します。
一方「チッピング液」は、塗布するときにはじかれやすいようです。特にエッジの部分でこの傾向が強く、下地面の塗装で、つや消し具合が不十分だったことが原因かもしれません。
「チッピング液」の説明書きには「つやあり塗装やメタリック塗装はチッピング液をはじくので使えません」と書いてありました。下地を完全につや消しで塗る必要がありそうです。
チッピングのやりやすさ
タミヤの「チッピング液」は水で塗装面をふやけさせることでチッピングを行います。エナメル溶剤などの影響は受けないようなので、スミ入れやウォッシングなどはやりやすい印象でした。
一方、クレオスの「シリコンバリア―」では、何もしなくてもこするだけでチッピングが出来てしまいます。そのため、ウェザリングカラーのふき取りなどでは意図せず塗料がはがれることがあるので、注意が必要です。
綿棒でこすったりはしない方が無難だと思います。
デカール
デカールは面相筆ですくって貼り、位置決めも面相筆で行いました。位置決めで水を使うのですが、タミヤの「チッピング液」では塗料がふやけてくるので注意が必要です。

チッピングに慣れてきたので「ダグラム」の製作に戻ります。
「コンバットビークルセット」を製作し始めたのは、現在製作が止まっているマックスファクトリー1/72の「コンバットアーマー ダグラム」でのチッピングの練習のためでした。
【プラモ】マックスファクトリー 1/72「コンバットアーマー ダグラム」新旧作り比べ(2)コックピット内部の製作とまだらシルバー塗装(新しいタブで開きます。)
最初は「軍用ジープ」1台を製作してチッピングを試すだけのつもりが、この「軍用ジープ」が一筋縄ではいかず・・・

気が付けば1箱分作り終えて、さらに2箱を開封してしまい、「ダグラム」そっちのけで半年以上「コンバットビークルセット」にのめり込んでしまいました。

まだ軍用ジープ「ウィリス OR-39D ランドマスター」2台分と連邦軍兵士5体分のパーツが残っていますが、ここで一旦マックスファクトリーの「コンバットアーマー ダグラム」の製作に戻ることにします。
続く。
おまけ:猫の図書館(5) 「ネコの事務所(「新編 銀河鉄道の夜」より)
「新編 銀河鉄道の夜」を読んでいたら、「ネコの事務所」という話が入っていたのですが・・・
ジョバンニとカンパネルラがネコなのはアニメだけの話だぞ。

著者 | 宮沢 賢治 |
発行所 | 株式会社 新潮社 |
ISBN | 978-4-10-109205-8 |
いや、「新編 銀河鉄道の夜」という本に「ネコの事務所」という話が入っている、ということを言っているのですよ!
おぉ、それはすまなかった。で、一体どういう話なのかな?
はい、新潮文庫の「新編 銀河鉄道の夜」には、全部で14編の作品が入っていてですね・・・
その中に「ネコの事務所」も含まれている、という訳なのだね?
そうなのですよ。
でも、宮沢賢治の作品で「ネコの事務所」って、あまり聞いたことがないような・・・
僕も知らなかったんですけど、読んでみるとこれがなかなか、健気というか、切ないというか、味わい深い一作だったのですよ。
そうなのか!なんだか興味がわいてきたぞ。
短い話なので、すぐに読めますよ。
じゃぁ、さっそく読んでみるのだ。
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