このブログで製作過程を紹介してきたKPモデル1/72の「川崎乙式一型偵察機」です。
「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(そらはく)」の展示機のイメージで製作しました。「そらはく」の展示機には装備されていない機銃も取り付けてみました。
以下で紹介いたします。
「川崎乙式一型偵察機」
「川崎乙式一型偵察機」は、第一次世界大戦におけるフランスの主力偵察機「サルムソン2A2」を川崎造船所飛行機部(現在の川崎重工航空宇宙システムカンパニー)がライセンス生産した機体です。
1918年に川崎造船所が「サルムソン2A2」の製造ライセンスを取得。岐阜県各務原市に製造拠点を設け、「川崎乙式一型偵察機」として国産化しました。
1922年に試作機2機が完成、各務原飛行場で初飛行した後、1927年までに300機が量産されました。
川崎重工にとって初の量産機となった「川崎乙式一型偵察機」は、日本の航空機産業の礎を築いたともいえる記念すべき機体です。
「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(通称:空宙博、そらはく)」には、この「川崎乙式一型偵察機」を復元した機体が展示されています。
また、「川崎乙式一型偵察機」の復元の様子を紹介したビデオや、岐阜県各務原市が航空産業の町として発展して来た経緯なども展示されていて、とても興味深いです。
「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」につきましては、以下をご覧ください。(新しいタブで開きます。)
【空宙博】岐阜かかみがはら航空宇宙博物館公式ウェブサイト (sorahaku.net)
KPモデル 1/72 「川崎乙式一型偵察機」
KPモデルはチェコの模型メーカーで、KPモデルズと表記されることもあるようです。日本では、ビーバーコーポレーションが扱っています。KPモデルズからは、「サルムソン2A2」のバリエーションキットが多数発売されており、今回製作したのはそのうちの一つす。
このキットはエンジンや機体内部などが再現されているわけではないのですが、細かいパーツが多数用意されています。
組立説明書によると、複雑な形状のカウリングは5分割されており、機首下面のフィンや主脚柱の横に取り付けられている小さなプロペラ付きの機器も別部品で用意されています。各部を細かく再現するためパーツの数が多いということのようです。
射出成型のクリアパーツは入っていませんが、風防を再現するための透明なシートが入っています。
塗装例は3種類が箱の裏側に印刷されています。
そして、これに対応して3種類のマーキングを再現したデカールも用意されています。
製作してみてわかったのですが、プロペラを止めるパーツと照準器のパーツが用意されていませんでした。また、後部機銃座のパーツはかなり省略されているようでした。
後で人から聞いて分かったことですが、このキットは簡易インジェクションという方法で作られているようです。そのためか、製作開始当初は接着が上手くいかずに苦労しました。ただし、パーツの合いは悪くないので、コツをつかめば問題なく製作出来るのではないかと思います。
製作時のポイント
接着について
「川崎乙式一型偵察機」のカウリングは、円筒型の外面の全体に凹凸がある複雑な形状をしています。
その独特な形状を再現するため、このキットではカウリングが上下左右および前面の5つのパーツに分割されています。
上下左右の各パーツを瞬間接着剤で接着して、やすりで継ぎ目を消そうとしたところ、すぐにバラバラになってしまいました。
何度試してもうまくいかないので、上下左右のパーツと前面のパーツを接着して、裏側からエポキシパテで補強を行いました。
どうやらパーツの素材が国産のプラモとは異なるようです。そこで、ランナーを用いて様々な接着剤で接着のテストを行いました。その結果、「タミヤセメント」や「Mr.セメント」など、いわゆる普通のプラモ用接着剤を用いるのが良い、ということが分かりました。
張り線
「川崎乙式一型偵察機」は上下の主翼の間など、機体各部にワイヤーによる張り線が施されています。
これを再現するため、ナイロン糸を用いて張り線を行いました。
張線を行うにはいろいろな方法があるようですが、今回は機体各部に穴を開けて、縫うようにナイロン糸を通してみました。
そして、「そらはく」の展示機を参考として主翼、コックピット周辺、尾翼、着陸脚周辺に張り線を行いました。
主翼およびコックピット
尾翼
主脚柱
機体番号
「そらはく」の展示機の垂直尾翼には「乙式一型偵察機」の文字と「1001」の数字が書き込まれていました。
キットには「1001」のデカールが入っていませんでしたので、以前購入しておいたHIQ PARTSのデカール「ノスタルジックナンバー」を使用しました。
このデカールから数字の「0」を使用。残りはキットのデカールを使用して、垂直尾翼のマーキングを再現しました。
機首上面の機器
機首上面には、細長い棒状の機器が取り付けられています。キットのパーツは縦棒の部分が平らで、横棒の部分も形状が異なります。
そこで、このパーツをプラ材などで自作しました。あれ、おかしいぞ・・・
よく見ると横棒の部分を上下逆さに取り付けていますね。取り外して付けなおしました。
接着剤にセメダイン「ハイグレード模型用」を使用していたおかげで接着剤の後が残らず、きれいなまま修正できました。
機銃
展示機には機首と後部銃座の機銃が装備されていません。一方、「川崎乙式一型偵察機」の元となった「サルムソン2A2」は、その重武装(機銃3丁搭載で、当時としては重武装だった。)が重宝されたようです。
そこで、「そらはく」の展示機のイメージとは異なってしまいますが、あえて機銃を取り付けてみました。機首の機銃はキットのパーツをそのまま使用しました。
後部銃座はニュージーランドの模型メーカー「WingNutWings」のサイトに掲載されている写真を参考にして、プラバンなどで作り直し、キットの機銃パーツを接着して製作しました。
プラバンからリング状の台座を切りだし、その上に機銃座を作り込みました。そして出来上がったものを後席に接着しました。
一旦これで完成としましたが、1カ所作り忘れた部分に気が付きました。機銃の支柱と穴あき板に接するように取り付けられている円筒形のものをつけ忘れていました。
そこで、1㎜プラボウから切り出したものを「Exシルバー」で塗装して接着しました。
実物は穴の開いた板の部分と最後に取り付けた円筒形の部分にギヤが刻まれていて、かみ合いながら動作するようです。
コックピット周辺
風防ガラスはキットに付属しているクリアシートを使わず、プラバンで自作しました。
接着にはセメダイン「ハイグレード模型用」を使用。四角いガラスの断面にはクレオスC8「シルバー」を筆塗しました。
キットには計器盤のパーツも付属していました。筆塗で塗り分けてみましたが、完成したら全く見えなくなってしまいました。
一方、前席風防ガラスの横に取り付けられる照準器のような部品は、組み立て説明書には載っているのですがパーツが入っていませんでした。
そこで、伸ばしランナーやプラボウなどを用いて自作して取り付けました。
プロペラ
「そらはく」の展示機のプロペラを見ると、中心が8個のナットで固定されており、また先端回転方向に金属製のガードが取り付けられています。
これを再現してみました。先端の金属製のガードは、ガイアカラーEx-07「Exシルバー」を塗ることで再現しました。
また中心部のナットには、マスタークラブのパーツを利用しました。
ナットが少し大きいですが、雰囲気は出せたのではないかと思います。いかがでしょうか?
製作過程(リンク)
「川崎乙式一型偵察機」の製作過程につきましては、以下をご覧ください。(新しいタブで開きます。)
【プラモ】KPモデル 1/72「川崎乙式一型偵察機」の製作(1)製作方針を決めて製作開始・・・早速トラブルが・・・
【プラモ】KPモデル 1/72「川崎乙式一型偵察機」の製作(2)各部の形状が良く分からないので、再び「そらはく」に行ってきた。
【プラモ】KPモデル 1/72「川崎乙式一型偵察機」の製作(3)下主翼、着陸脚の取り付け
【プラモ】KPモデル 1/72「川崎乙式一型偵察機」の製作(4)上主翼の取り付けと後席機銃座の自作
【プラモ】KPモデル 1/72「川崎乙式一型偵察機」の製作(5)各部を作り込んで完成!
また、本キットを製作するきっかけとなった「そらはく」での企画展示につきましては、以下をご覧ください。(新しいタブで開きます。)
【プラモ】「空宙博(そらはく)」に行って、「川崎 乙式一型偵察機」と「コードロン シムーン」を作りたくなった。
製作を開始した当初は「キットもあるし楽勝!」と思っていましたが甘かったです。国産キットとの材質の違いや、複葉機の製作に慣れていないことなどで苦戦しました。
資料もなく細部に不明な点が多かったですが、「そらはく」の展示機やX(旧ツイッター)のフォロワーさんからの情報がとても役立ちました。
完成してみると、木材や羽布が多用された機体には、独特な魅力と存在感があるなぁと思いました。
ご覧いただき、ありがとうございました。KPモデル 1/72の「川崎乙式一型偵察機」でした。
おまけ:猫の大福さん(16) 夜の大爆走
ギャー、やめてくれー
ヒー
なんか騒々しいですね。何をそんなに騒いでいるのですか?
照明と背景をセットして完成したプラモの写真を撮ろうとしていたのだが・・・
大福さんが走り回っていて、いつぶつかってくるか分からないのだ。
そうなんですか・・・大福さんが落ち着くまでは無理じゃないですか?
そうだね。写真撮影はまた今度にするか・・・
それがいいですよ・・・
おまけ:猫の大福さん(17) 買ったばかりのCDラジオが・・・
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