【プラモ】ドラウィング1/48「コードロンC.630 シムーン」

航空機

このブログで製作過程を紹介してきたドラウィング1/48「コードロン C.630 シムーン」です。「サン=テグジュペリ」が自家用飛行機として使用した機体を製作しました。

このキットにはエンジンのパーツが付属します。組み立て説明書の通りに製作すると機体内部に組み込まれてしまい、完成後は見えなくなってしまいます。

それではもったいないので、台座などを製作し完成後も機体と並べて展示できるようにしました。

以下で説明します。

「コードロン C.630 シムーン」

「コードロン C.630 シムーン」は、フランスの小型民間機です。1930年代に郵便機として使用され、長距離飛行記録を樹立。第2次世界大戦中は連絡機としても使用されたようです。

1935年には「サン・テグジュペリ」が、自身の所有する「コードロン C.630 シムーン」で「パリ – サイゴン耐久レース」に挑戦しました。

また、1936年にはフランスの飛行家「アンドレ・ジャピー」による「パリー東京100時間飛行」で使用され、悪天候のため、福岡県と佐賀県の県境にある背振山に墜落してしまいました。

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館「そらはく」の企画展で展示されていました。

2023年7月22日から10月29日まで「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」で実施された企画展では、墜落した「コードロン C.630 シムーン」の尾翼の一部が展示されていました。

そして現在、「赤い翼プロジェクト」として「コードロン シムーン」を復元する活動が行われています。

2026年に佐賀から東京までの飛行を行うことを目指しているとのことです。「アンドレ・ジャピー」が果しえなかった「シムーン」による佐賀から東京までの飛行が実現されようとしています。とても楽しみですね。

サン=テグジュペリの「シムーン」と関連書籍

「サン=テグジュペリ」の「シムーン」は1935年12月19日、サイゴンに向けて出発しました。

「パリーサイゴン耐久レース」に挑むためです。15万フランの賞金を手にするためには、5日と4時間でサイゴンに到達しなければなりません。

しかし、「シムーン」はリビア砂漠に墜落してしまいました。この時の様子が出発時、墜落時の「シムーン」の写真とともに書籍『「星の王子さま」の誕生(サン=テグジュペリとその生涯)』に述べられています。

創元社:「星の王子さま」の誕生

『「星の王子さま」の誕生(サン=テグジュペリとその生涯)』には、「サン=テグジュペリ」の生い立ちから、その没後の「アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ財団」の設立までが多数の写真とともに紹介されています。

「サン=テグジュペリ」の生涯をたどるのに最適と言えるでしょう。

また、書籍「人間の土地」には、「サン=テグジュペリ」自身の筆によりリビア砂漠から奇跡的に生還したときの様子が詳述されています。

新潮文庫:「人間の土地」

「人間の土地」は、自身の経験や「ジャン・メルモス」や「アンリ・ギヨメ」などのエピソードなど、当時の職業飛行家たちの体験を伝える名著です。

これらの2冊は、「シムーン」のプラモを製作しつつ、当時の雰囲気をしのぶのに最適な書籍なのではないかと思います。

「サン=テグジュペリ」の「シムーン」はリビア砂漠に墜落してしまい、残念ながらサイゴンに到着することはできませんでした。しかし、この時の経験は彼の代表作である「星の王子様」に活かされているのです。

ドラウィングの1/48「コードロンC.630シムーン」

ドラウィングはウクライナの模型メーカーです。今回製作したのは「サン=テグジュペリ」の「F-ANRY号」を含むパッケージです。

他に「アンドレ・ジャピー」による「パリー東京100時間飛行」で使われた機体を含むものや、軍用機バージョンなどが発売されてます。

箱を開けた時は細かいパーツが多くて少しビビりました。しかし不要部品が多く、それほどビビることもなかったです。

塗装例は「サン=テグジュペリ」の「F-ANRY号」を含む4種類が用意されています。組み立て説明書には、カラフルな塗装図も掲載されていますが・・・

解説は一切なし。どれが何なのかは全く分かりません。

実際の組み立てではパーツが上手く組み合わさせられなかったり、主翼が逆ぞりしていたり、細かいパーツがバリの中に埋まっていたりで苦労の連続でした。

主翼が下に反っています・・・

とはいえ、1/48のサイズで完成したときの存在感は、カラフルな塗装と相まって独特のものがありました。

なんとか無事に完成させることが出来ました。失敗した部分もありますが、完成時の満足感はとても大きかったです。

製作時のポイント

パーツの仮組とすり合わせが必須

このキットを製作して最初に直面した問題は、パーツが上手く組み合わさらない、ということでした。全体にパーツが若干大きめで、収まるべき場所からはみ出す、ということが起こるのです。例えば胴体内部の床板ですが、前後調が長すぎて胴体内部に上手く収まりません。

各パーツを慎重に仮組、摺合せして製作しました。

バリに埋まったパーツ

胴体内部には3脚の椅子を設置しますが、椅子の足のパーツがバリに埋まってしまっています。

椅子の足のパーツは使用せず、代わりに真鍮線で自作しました。

また、フットペダルのパーツもバリに埋まっています。こちらはデザインナイフややすりでバリを取り除いて使用しました。

フットペダルなどは完成するとほとんど見えなくなるので、バリの処理はほどほどで十分かもしれません。

胴体

胴体の製作では、上で紹介した書籍(「星の王子様」の誕生)に掲載されている「シムーン」の写真を参考にしました。斜め後ろからの写真と有名な墜落時の写真が掲載されており、これらから以下を再現することとしました。

  • キャビン側面上部にパーティングラインのような出っ張り
  • 胴体左側のドア下側の赤い部分には、キャビン上部の色(セールカラー)の縁取り

まずキャビン側面上部のパーティングラインのような出っ張りを再現するため、エバーグリーンの0.5㎜ x 0.25㎜のプラ材を貼り付けました。

ドアは仮止めです。

片端を斜めに切り取り、尾翼の付け根から順に接着。クレオスの「Mr.セメントSP」をしみこませつつ、少しずつ接着しました。

また、胴体左側のドアの塗装では、クレオスMr.カラーC45「セールカラー」にC46「クリアー」を足したもので縁取りを付けました。

さらに書籍の写真とボックスアートから、胴体左右の四角い窓には銀色の縁取りがあると判断して塗装で再現しました。

塗り分けが上手くいかず、ガタガタになってしまった・・・

機首の排気管はキットのパーツを参考にしてプラ材で作り直しました。

機首下面の排気管パーツ取り付け部をプラバンで埋めて置き、塗装後に排気管を接着しました。

そして胴体下面の筒状の機器は、真鍮線でそれらしくディテールアップして取り付けました。

これが何のためのものなのかは残念ながら分かりませんでした。

主翼

主翼はあらかじめ上面パーツを胴体に接着しておきました。その際、裏側に0.5㎜プラバンの帯を接着して補強しました。

左右の主翼下面と胴体は一つのパーツに一体化されています。このパーツの主翼下面が下側に垂れ下がってしまっていますので、主翼下面と胴体の付け根に慎重に手で曲げ癖を付けました。

また、先端に0.2㎜プラバンを貼り、主翼上面と組み合わせた時に隙間が出来ないようにしました。

そして主翼下面を機体に組み合わせ、接続部分に少しづつ流し込み接着剤をしみこませて接着しました。

右主翼前部先端付近にはピトー管を取り付けます。キットには極細のピトー管のパーツが用意されていますが、完成後の破損を避けるため、金属素材で自作しました。

このパーツを参考にして1.0㎜の真鍮パイプと0.6㎜の洋白線を組み合わせてピトー管を自作。

主翼前縁に開けた穴に差し込んで接着し、真鍮パイプの部分に主翼と同じくクレオスMr.カラーC327「レッドFS11136」を塗りました。

尾翼

垂直尾翼は胴体と一体で成形されています。そしてレジンパーツのラダーが用意されています。仮組、修正を繰り返して垂直尾翼にラダーがきれいに収まるように製作しました。

水平尾翼は本体、エレベーターがそれぞれ別部品で用意されています。これらも仮組、修正を繰り返してきれいに収まるようにしました。

垂直尾翼が微妙に曲がっていますが、エンジンのトルクを打ち消すためのものと解釈してこのままとしました。

機首内部について

冒頭でも述べましたが、エンジン、前部隔壁、計器盤をまとめてディスプレイベースも自作し、機体と並べて展示できるようにしました。

まずエンジンですが、「シムーン」の機首に開けられた開口部からラジエターの一部が見えます。キットで用意されているラジエターのパーツはエンジンに取り付けました。

一方、機体から見えるラジエターはプラ材で自作しました。

ラジエター塗装前
ラジエター塗装後

前部隔壁のパーツは一つしかなかったので、機体に組み込むものをプラ材で自作しました。

エンジン本体は耐熱塗料のイメージでタミヤエナメル塗料 XF-5「フラットグリーン」で塗装。各部を塗り分けました。ちなみにこのエンジン、下側にシリンダーが付いているように思われます。変わった形状をしていますね。

エンジンの右側面には様々な機器が配置されています。これらが何かを想像しながら色を塗りました。

ここで、改めて「赤い翼プロジェクト」のサイトで見かけた写真と見比べてみると、エンジン本体は機体に組み込まれる都合で回転軸周りが省略されていることが分かりました。

正確な形状が分かりませんでしたが、「赤い翼プロジェクト」のサイトで見かけた写真を参考にして、それらしく自作してみました。

計器盤はキットのパーツを使用。塗装した後、デカールを貼って前部隔壁の操縦席側に接着しました。

そして、博物館などでの展示用台車をイメージしてプラ材でディスプレイベースを自作しました。

これで「シムーン」とエンジンを含む機首内部の製作は完了です。

余り部品の計器盤なども活用することで、このキットをとことん楽しむことが出来ました。

ごちそうさまでした。

製作過程(リンク)

「コードロン C.630 シムーン」の製作過程につきましては、以下をご覧ください。(新しいタブで開きます。)

【プラモ】ドラウィング1/48「コードロン C.630 シムーン」の製作(1)サン・テグジュペリの「F-ANRY号」として製作開始。仮組、胴体内部の製作を進めた。

【プラモ】ドラウィング1/48「コードロン C.630 シムーン」の製作(2)胴体内部の製作の続き

【プラモ】ドラウィング1/48「コードロン C.630 シムーン」の製作(3)胴体が出来上がった。

【プラモ】ドラウィング1/48「コードロン C.630 シムーン」の製作(4)主翼、尾翼を取り付けた。

【プラモ】ドラウィング1/48「コードロン C.630 シムーン」の製作(5)塗装、デカール貼り、失敗してしまった・・・

【プラモ】ドラウィング1/48「コードロン C.630 シムーン」の製作(6)ついに本体が完成!

【プラモ】ドラウィング1/48「コードロン C.630 シムーン」の製作(7)機首内部を単独で展示できるようにした。

本キットを製作するきっかけとなった「そらはく」での企画展示につきましては、以下をご覧ください。(新しいタブで開きます。)

【プラモ】「空宙博(そらはく)」に行って、「川崎 乙式一型偵察機」と「コードロン シムーン」を作りたくなった。

また、地面シート、背景シートと組み合わせてジオラマ風の写真を撮影しましたが、地面シートと背景シートの間に設置する「森林パーツ」を作成してみました。以下をご覧ください。(新しいタブで開きます。)

【プラモ】背景用の森林を作ってプラモの写真を撮った。

今回製作したドラウィング1/48「コードロン C.630 シムーン」ですが、パーツそのものの辻褄はあっているし、内部も細かく再現されていて、リアルな「シムーン」が出来上がります。

ただし仮組、部品のすり合わせを十分に行わないと組み立てることが出来ません。プラモ製作の基本を思い出させてくれるキットでした。

ご覧いただき、ありがとうございました。ドラウィング 1/48の「コードロン C.630 シムーン」でした。

おまけ:猫の大福さん(36) 最大の危機!ハーネスが外れてしまった!!

少し前のことなのだが、大福さんにとてつもない危機が訪れていたのだ。

ど、どうしたのですか、何があったのですか?

ウム、天気がいいので庭の草むしりをしていたのだが・・・

大福さんにハーネスを装着して庭に出してあげていたのだ。

なんか嫌な予感がしてきましたよ・・・

で、時々大福さんの様子を見ながら草むしりをしていたのだが・・・

すり抜けた時の写真を撮っている余裕はありませんでした。

気が付くと、大福さんにそっくりなネコがこっちを見ていたのだ。

え、それって、もしかして・・・

もしやと思って大福さんの様子を見に行ったら、ハーネスだけが残されていて、大福さんが居なかったのだ!

え、じゃあ、さっきの大福さんによく似たネコというのは・・・

そうなのだ。大福さんがハーネスからすり抜けて、こちらに来ていたのだよ!

えー、大福さん、ずっと家の中にいるから、外で迷子になったら帰ってこれないですよ。

ウム、その通りなのだ。しかし、こうもあっさりハーネスをすり抜けられるとは思ってもいなかったのだ。

で、どうなったのですか?

驚かさないようにそーっと近づいて、無事に捕まえることが出来たのだ。

このぐらいのハーネスならすり抜けられるのだ。(by大福)

もしあのまま大福さんがどこかに行ってしまったらと思うと、肝が冷える思いだよ・・・

ちょっと油断しているんじゃないですか?

そうだね、気を付けねばならんね・・・

おまけ:猫の大福さん(35) プラモの撮影、危機一髪!

おまけ:猫の大福さん(37) 蹴りぐるみ

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