本ブログで製作過程を紹介してきた、ハセガワ1/32「F6F-3/5ヘルキャット」が完成しました。
改めて、完成品をご紹介いたします。
F6F-5 ヘルキャット
「F6Fヘルキャット」は、1943年に登場したアメリカ海軍の艦上戦闘機です。太平洋戦争の初期に圧倒的な強さを誇った零戦に対抗するために開発されました。
「F6F-5」は、最初の量産型である「F6F-3」の改良型で、カウリングの設計を改めて空力抵抗を低減させ、同じエンジンでより高速を出せるようにしたタイプです。
初期に生産された「F6F-5」は、「F6F-3」と同じく主翼に12.7㎜機銃を6丁搭載していましたが、後期に生産された「F6F-5]には20㎜砲2門が搭載されました。また、翼下に1000℔爆弾2発や、127㎜ロケット弾6発を搭載できました。
太平洋戦争中は大量生産されて、「F4Uコルセア」とともにアメリカ海軍航空隊の主力として活躍しましたが、戦後は「F4Uコルセア」に主力の座を譲りました。
ハセガワ1/32 「F6F-3/5ヘルキャット」
古くからある製品で、凸モールド、凸リベットの割とあっさりしたキットです。繊細な凸モールドとリベットは、最近の凹モールドが施されたキットとは異なる印象を受けます。
実際の航空機の外板継ぎ目が凹モールドのようになっているかといえばそんなことはないです。スジボリをすべて彫り直すだけの技術もないので、凸モールド凸リベットを生かす方向で製作しました。
今回は、航空母艦エセックス搭載の「F6F-5」を製作しました。
本キットについては、以下の点について注意が必要です。
- 操縦席は「F6F-5」の形状が再現されている。
- 主翼は12.7㎜機銃×6丁のタイプが再現されている。
- パイロットはイギリス連邦空軍のもののようである。
- キャノピー前半部を取り付けると、パイロットを乗せられなくなる。
- 着陸脚の塗装に注意が必要。
- デカールの白帯と星は、紺色の枠が付いたもののみ用意されている。
操縦席の形状が「F6F-5」ですが、主翼の武装は12.7㎜機銃×6丁のタイプです。「F6F-5」といえば20㎜機関砲が装備されているイメージですが、初期の機体では12.7㎜機銃×6丁だったようなので、間違いということでもないようです。
機銃点検口のハッチを取り外して中を見ることができますが、補強用のバー(部品38)を取り付けると、ハッチをかぶせられなくなるので、注意が必要です。
パイロットが付属していますので、塗装して乗せました。
組み立て説明書の塗装指示が不十分に感じられたので、別のキット( タミヤ1/48「ブリュースター B-339 バッファロー」 )の説明書を参考にしました。
タミヤの「ブリュースターB-339バッファロー」には、アメリカ海軍とイギリス連邦空軍の二体のパイロットが付属しています。アメリカ海軍パイロットの場合は、襟が小さめで、後ろから見たときに首が見えています。
一方、イギリス連邦空軍パイロットの場合は襟が大きく、首が隠れています。このように、アメリカ海軍とイギリス連邦空軍では、襟の部分の形状が大きく異なるようです。
キットに付属するパイロットは、襟が大きく、イギリス連邦空軍のものに近いように感じました。ただし、今回はこのまま載せてしまいました。
着陸脚の色について、組み立て説明書では主脚柱がシルバー、尾脚柱については指示がないです。手元にヘルキャットを特集したモデルアート2011年8月号がありましたので、調べてみました。
「ヘルキャット」の作例が多数掲載されています。これらを参考に着陸脚は機体色と同じ色としました。
デカールの白帯と星は紺色の枠が付いたもののみが付属しています。今回の作例では、白い部分のみを切り出して使用しました。
デカールには計器板に貼るものが含まれていません。面相筆でメーターなどを塗り分けました。
製作時のポイント
組み立て時のやすり掛けで凸リベット、凸モールドが消えてしまいます。これを復活させました。まず凸リベットですが、二枚重ねにしたマスキングテープにケガキ針で小さい穴を開け、これを貼り付けた上からガイアノーツの「瞬間接着パテ」を塗ることで復活させました。
凸モールドは、該当箇所にマスキングテープを貼ってから塗装を行うことで、塗膜の段差により復活させました。
機体各部の灯火類をクリアー化しました。主翼端の翼端灯は、クリアパーツのランナーから削りだしたものに置き換えました。
機体上部の位置表示灯と着陸灯もクリアパーツのランナーから削りだしたものに置き換えました。
胴体下面に三つ取り付けられているライトは、プラパイプなどを用いて、ライトが埋め込まれたような形状に加工しました。クリアの部分はウェーブの「Hアイズ1」を使用しました。
左翼中ほどの前縁に着陸灯と思われる彫刻があるので、ウェーブの「Hアイズ3」と塩ビ板を使用してライトが埋め込まれたような形状に加工しました。
胴体後端の突起は位置表示灯と考え、ウェーブの「Hアイズ3」に含まれている1.5㎜のレンズを平面側にシルバーを塗って取り付けました。
カウリングの後端の厚みが気になる部分がありましたので、削って薄く見えるようにしました。
アンテナの空中線は、支柱に伸ばしランナーを接着して再現しました。
クレオスMr.ウェザリングカラーWC05「マルチホワイト」によるフィルタリング、タミヤエナメル塗料XF-1「フラットブラック」および「ウェザリングマスターBセット」の「スス」による排気ガス汚れなどのウェザリングを行いました。
プロペラを回転させた。
胴体にギヤとモーターを組み込んで、プロペラを回転できるようにしました。
モーターのリード線は尾脚収容部から外に出してあります。リード線にマイクロビットという教育用マイコンボードをつないで動かしてみました。
マイクロビットを二つ用意し、無線で操作するようにしました。写真の右側のマイクロビットはプロペラのモーターにつながれており、モーターの回転を制御します。左側のマイクロビットの「Aボタン」、「Bボタン」でプロペラの動きをコントロールします。
- 「Aボタン」を1回押すと、プロペラがゆっくり回る。(セルモーターで回る様子を模擬)
- 「Aボタン」をもう1回押すと、プロペラが速く回る。(エンジンで回る様子を模擬)
- 「Bボタン」を押すと、プロペラが徐々に減速して止まる。
この動きを動画でご覧ください。
分かりづらいかもしれませんが、ボタン操作に従ってマイクロビットのLEDに表示される文字も変化します。
- 「S」:ストップ
- 「C」:セルモーター
- 「E」:エンジン
- 「:」:エンジン停止までの減速中
エンジン音と煙が欲しくなってきますが、実現するにはかなりハードルが高いですね。
製作過程
ギヤボックスを組み込んだり、各部のクリアー化を行ったり、凸リベットを追加するために試行錯誤してみたりと、製作を楽しめました。製作過程につきましては、以下をご覧ください。(新しいタブで開きます。)
【プラモ】ハセガワ1/32「F6F-3/5ヘルキャット」の製作(1)製作方針
【プラモ】ハセガワ1/32「F6F-3/5ヘルキャット」の製作(2)ギヤボックスとコックピットと・・・落とし穴
【プラモ】ハセガワ1/32「F6F-3/5ヘルキャット」の製作(3)凸彫のリベットの修復が上手くいかない・・・
【プラモ】ハセガワ1/32「F6F-3/5ヘルキャット」の製作(4)リベットの修復の続き、エンジンの組み立て
【プラモ】ハセガワ1/32「F6F-3/5ヘルキャット」の製作(5)ギヤボックスの固定、モーター回転テストなど
【プラモ】ハセガワ1/32「F6F-3/5ヘルキャット」の製作(6)胴体下面の工作、尾翼の組み立て、プロペラの塗装など
【プラモ】ハセガワ1/32「F6F-3/5ヘルキャット」の製作(7)主翼、着陸脚の組み立て
【プラモ】ハセガワ1/32「F6F-3/5ヘルキャット」の製作(8)翼端灯などのクリア化、機体の塗装
【プラモ】ハセガワ1/32「F6F-3/5ヘルキャット」の製作(9)デカール貼り、機体各部の組み立て
【プラモ】ハセガワ1/32「F6F-3/5ヘルキャット」の製作(10)コックピットの製作、汚し塗装を行い完成
マイクロビットのプログラム
プロペラの制御には、マイクロビットという教育用マイコンボードを使用しています。マイクロビットのプログラムにつきましては、以下をご覧ください。(新しいタブで開きます。)
【マイクロビット応用】[2] プラモの飛行機のプロペラ(1)
【マイクロビット応用】[3] プラモの飛行機のプロペラ(2)
【マイクロビット応用】[4] プラモの飛行機のプロペラ(3)回転が徐々に遅くなって止まるように改造
【マイクロビット応用】[5] プラモの飛行機のプロペラ(4)無線で操作できるように改造
【マイクロビット応用】[6] プラモの飛行機のプロペラ(5)チャンネル指定、双方向通信
ご覧いただきありがとうございました。ハセガワ1/32「F6F-3/5 ヘルキャット」でした。
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